REPORTオープニングセッション

オープニングセッション

ダイバーシティ経営で作る「新しい資本主義」

マーケットも株主もコミュニティも社会も。全てがダイバーシティを求めている!

轟 麻衣子氏Maiko Todoroki

株式会社ポピンズ
代表取締役社長

宮地 純氏June Miyachi

カルティエ ジャパン プレジデント & CEO

本会議の冒頭に届いた岸田総理からのメッセージでも強調されていた「新しい資本主義」。このトークショーでは、アメリカ、フランス、日本におけるダイバーシティ経営の実例と、新しい資本主義に向けての課題と方策などを議論します。すべて英語によるディスカッションです。

内閣府の「新しい資本主義実現会議」で委員をされている村上由美子さんは、今までの資本主義の社会は市場経済に力を入れ過ぎ、環境問題や不平等・格差の問題などが理解されてこなかった。ではどうすべきかと岸田内閣がこの課題を取り上げるようになったと述べ、「これは日本だけの問題ではなく、世界の色々なところで議論されている課題。アメリカで不平等・格差・分断を目の当たりにされてきた茅野さんにまず伺いたい」と水を向けます。

伊藤忠インターナショナル会社CEOとして5年間アメリカに赴任されていた茅野みつるさん(現:伊藤忠商事株式会社常勤監査役)は、アメリカにおいてはコロナ禍でエッセンシャルワーカーの問題が浮上し、「みんなに平等な機会を提供するにはどうしたらいいか」が議論されてきた。と同時に、環境問題、中絶、銃規制などの問題で分断が起き、これらの解決策を模索するには共通事項を見出すのが重要。解決の糸口に欠かせないのが、ダイバーシティ。それも、単に人種や性別といったダイバーシティではなく、多様な考え (diversity of thought)を有する人たちがソリューションを一緒に見出すということ。だからこそ、ダイバーシティをドライブできる組織・社会が求められると指摘。
「マーケットも株主もコミュニティも社会も。それら全てがダイバーシティを強く求めています」

茅野 みつる氏Claire Chino

伊藤忠商事株式会社常勤監査役

村上 由美子氏Yumiko Murakami

MPower Partners ゼネラル・パートナー

では、フランスではどうでしょう。カルティエ ジャパン プレジデント&CEOの宮地純さんは、マクロン大統領がジェンダー平等は”great cause”、大義であるとし、差別と戦うさまざまな措置をしてきたこと。その一つにプロフェッショナル・イクオリティー・インデックスという指標があり、企業内の格差を見える化することに各社が取り組んでいることに言及。また、1930年代からクリエイティブ ディレクターが女性だった歴史や、管理職と役員の50%が女性である等の数字も示し、ダイバーシティ経営の重要性をこう述べます。
「組織に多様性があることで、クリエイティビティやイノベーションを促す組織をつくり、経済的成長を実現する。これからの時代、特にそれはとても重要。」

続いて、日本。「超高齢化、少子化の日本において女性のエンパワーメントはnice to doではなく喫緊の課題」と、株式会社ポピンズ社長の轟麻衣子さん。2020年12月に日本初のSDGs-IPOとして東証一部(現プライム市場)に上場したご経験から、「IPOのプロセスの中で、四半期の決算、財務指標をみるだけでなく、ミッションの中にSDGsの要素を掲げ、なぜ女性のエンパワーメントが重要なのかも強調してきた」と述べます。
「男性の目には見えにくいビジネスチャンスもあります。新しい改革に必要なのはジェンダーに関するアンコンシャスバイアスを克服することです」

さらに話題は、ダイバーシティ経営で利益が上がるのか、経済的なインパクトがあるのか。また、高齢化・少子化などをビジネスチャンスとしてどう見るかなど、どんどん広がり、グローバルな視野をもって活躍する女性経営者たちの「新しい資本主義」に向けた貴重な経験、視点、知見とパワーが惜しみなくシェアされる時間となりました。

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