REPORTアフタヌーンセッション

アフタヌーンセッション

ファイナンスで組織を動かす

「数」という字には「女」が入っている。数字をツールとして使いこなそう!

鳥海 智絵氏Chie Toriumi

野村ホールディングス コンテンツ・カンパニー長 サステナビリティ推進 兼 金融経済教育担当

スー・木下氏Sue Kinoshita

駐日英国大使館 公使参事官
(経済・科学・貿易政策・エネルギー政策)

日本のあらゆる組織で意思決定の場に女性が増えている。その一方で、女性は数字に弱いとか、金融機関やファイナンス関係には女性リーダーが少ないというイメージをもつ人がいるようです。「でも、どうでしょう、このメンバーをご覧ください!」と満面の笑みで3人のスピーカーをご紹介する、ファシリテーターの青山朝子さん。早速、イギリスの金融当局が発表した新しいポリシーについて「かなり思い切ったクオータ制じゃないですか?」と駐日英国大使館 公使参事官のスー・木下さんに問いかけます。

スー・木下さんは、上場会社の取締役会に少なくとも女性が40%、独立上級取締役の中に少なくとも1人が女性を、という金融行動監視機構(FCA)の新しいクオータ制を示しつつ、これは罰則規定などの強制力はないが企業がデータを公開することで改革が進んでいると言います。
また、イギリス外務省での貴重なエピソードをシェアしてくださいました。
6年ほど前に当時の事務次官が職員の半分は女性なのに大使は15%だと気づき、女性大使を増やそうと決心をしたと言います。外務省の壁に英国大使館のある国々を並べ、すでに女性大使の居る国には大使の写真を掛け、同時に女性大使のいない国には「鏡」を掛けた。そこを通った女性職員は、自分が映ると「自分も大使になれる!」と意識づけにつながる。その影響もあって、今は35%が女性で、しかもG7の大使は全員が女性です。
「トップの男性がアカウンタビリティをもって、女性が大使になってほしいと声明を出すことで文化が変わり成果につながったのです」

バンク・オブ・アメリカ在日代表の笹田珠生さんは、「バンク・オブ・アメリカでは、CEOがトップダウンで多様化すればするほど組織が強くなると訴え続けてきたことにより、ダイバーシティが進んでいる」と言います。ボードメンバーの5割は女性や人種的マイノリティ、グローバルではマネジメントの3割が女性などのデータを提示。そのうえで、「重要なのは、数字だけでなく、どうやって女性が活躍できる環境をつくっていくか」であると、自社の例にも触れました。

笹田 珠生氏Tamao Sasada

バンク・オブ・アメリカ 在日代表
BofA証券株式会社 代表取締役社長

青山 朝子氏Asako Aoyama

NEC
執行役員

「一般に野村というと男性社会と思われる方が多いが、実はそうでもないんです」と、野村ホールディングス コンテンツ・カンパニー長の鳥海智絵さん。グローバルで役員クラスの11人は女性、野村証券の女性管理職比率は14%、660名で、私が管理職になった20年前に比べると数のうえでは30倍」など具体的な数字を挙げ、「それなりに頑張っているんじゃないかと思います」

後半は、ファイナンスのリテラシーへと話題が展開します。まず、NEC執行役員でグローバルビジネスユニットのCFOでもある青山さんは、良い意思決定を支えるためのリテラシーとして重要なポイントを二つ、「違和感を覚えたら数字と見比べること」「利益にフォーカスしがちだが実はキャッシュが重要」とNECでの実例を示しながらアドバイス。

鳥海さんは、数字は物事を大きく捉えるためのツールであり、且つ考え方に客観性、納得性を持たせるための道具であるといい、「自分にとってのマジックナンバーのような数字を把握しておくと良い」とも。

「数字を理解したうえで、どういうストーリーで話すかが大事なポイント」と、笹田さん。

そして最後にスー・木下さんが、「日本語を勉強したときに嬉しかったのは、数という漢字には女という字が入っていること! 私の名前にも「すう」が入っている!女性が、金融業界でも中心になって入ってほしいです」

ファイナンスで組織を動かしているパワフルで機知に富んだ女性たちのトークに、参加者は多くの示唆を得たことでしょう。

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