REPORTイブニングセッション

イブニングセッション

ILO Findings on Diversity Management

トップマネジメントの4割が女性だと、従業員のインクルージョン意識が高まる

ラファエル・ディエス デ メディナ氏Rafael Diez de Medina

国際労働機関(ILO)本部 統計局長

イブニングセッションのトップバッターには、スイス・ジュネーブから国際労働機関(ILO)本部統計局長をつとめるラファエル・ディエス・デ メディナさんがご登場。「ダイバーシティ&インクルージョンを通じて企業はどう変革できるのか」について、ILOの最新データをご紹介いただきます。

早速、ラファエル・ディエス・デ メディナさんは、画面共有をしてデータの要約などを示しながら、ILOが行ったこの調査は、全世界75カ国、1万2000人(内56%女性)の企業トップ、経営陣、上級管理職、スタッフが対象、年齢・属性・人種なども多様性に富んだグローバルな調査であったことを説明。そして、目的はビジネスをサポート、と強調します。

まず、職場環境においてどのような要素が「インクルージョン」につながっているかの3つの枠組みなどにも触れつつ、「ダイバーシティ&インクルージョンで変革を起こすために重要な4つの原則」という大変重要なポイントをご紹介くださいました。

1:D&Iにアプローチするため、戦略的かつ文化的な変化を取り入れる。
2:経営幹部にダイバーシティを構築する。
3:D&Iに関するリーダーシップと説明責任の共有を確立する。
4:従業員のライフサイクルと組織運営にD&Iを取り入れる。
参考リンク:ILO報告書“Transforming enterprises through diversity and inclusion”

その中で、「ダイバーシティ&インクルージョンを戦略、文化の一部としてプライオリティ高く扱ったほうが、サポートを受けていると感じる従業員の割合が21%上がる」、「トップマネジメントの4割が女性であると、従業員全体のインクルージョン意識が高まる」、「シニアリーダーがロールモデルとしてダイバーシティ&インクルージョンを日々の業務の中で体現していると、従業員の自分の会社に対するコミットメント、コラボレーションのレベルが11%高まる」など、興味深いデータが次々に。

また、この報告書の中では、Drive Diversityという会議テーマをまさに象徴する、ダイバーシティ&インクルージョンを促進するために必要なドライバー(原動力)についても明らかにしているとし、「企業は、法制度が整備されてやらざるを得ないから進めるということもあるが、より大事なのは組織内からおこってくるドライバー」だと言います。

そして最後に、このパンデミック禍、ポストコロナにおいても、また気候変動や政治的・経済的な変動の中であっても、企業はダイバーシティに関する価値をさらに深掘りし、重要視する必要があると述べ、「ここで発表した4つの原則を取り込み、ダイバーシティの政策を策定し、実際のアクションとして実行する必要がある」と強調しました。

世界中が指標とする国際機関I L Oによる大規模な調査の結果報告をいち早くご紹介いただき、その示唆に富んだ内容に、多くの参加者が触発されました。

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