The 28th International Conference
for Women in Business
第28回
国際女性ビジネス会議

EVENING SESSION

イブニングセッション

イブニングセッション難民を受け入れる私たちの挑戦〜オーストラリアの事例から

Win-Winの関係を築く! 難民のスキルを活かしたプロジェクト

Kate O'Malley氏

Kate O'Malley氏Kate O'Malley

Senior Protection Officer at UNHCR, the UN Refugee Agency

イブニングセッションは、オーストラリアのキャンベラから始まりました。登壇されるのは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、難民の受け入れ、再定住などの課題解決を進めているケイト・オマリーさん。

「2019年12月、国連の常任理事国が難民に関わるグローバル条約を策定いたしました。国家、企業、大学、ボランティア、そして市民の皆さんが、難民の課題に共に立ち向かうという内容になっております。これは大きな社会的なプロジェクトです」と最初にグローバルな現状について共有されました。

一方で、その活動は非常に地道であることも事実です。オーストラリアで難民をサポートしている方は、「今、我々がやっていることは、この海洋の中に一滴を垂らす活動にしかならない」と言っていたといいます。「水滴のようなプロジェクトかも知れない、しかし大変重要なプロジェクトを3つ、お話しさせていただきたいと思います」とケイトさん。難民が増え続ける厳しい現状でも挑戦を重ねる、ロールモデルの紹介が始まりました。

1つ目は、Settlement Services Internationalという組織が行う、起業家支援の取り組みです。
「スキルを確立し、起業家同士のネットワークをどのように構成するのかということに注力しています。難民の方だけではなく、オーストラリアの先住民の方々を含めて、若手のアントレプレナーを支援するプログラムです」
現在、ホスピタリティ、ケータリング、クリエイティブアートなど、さまざまな分野での起業が実現されているとのことです。

2つ目は、Talent Beyond. Boundariesの教育プログラム。スキルがありながら労働の権利が保障されていない人たちに、エンジニアなどを目指すトレーニングを提供しています。スライドでは、難民の方々がITなど多様な専門性を持っていることがデータで示されました。

3つ目の事例は、大手スーパーマーケットのWoolworthが行っているもので、テック業界などでの若手人財の受け入れを支援しています。

「オーストラリアは、スキルを持った人財が不足しているという問題を抱えています。人財獲得を難民にまで広げることによって、我々も享受することがある。難民の保護という観点と、我々の総合的なメリットを考えると、Win-Winの関係性を築くことができると思っています」

日本では、難民の受け入れが大きな課題となって世界から注目を集めている中、オーストラリアでの事例を含めて話してほしいと依頼した佐々木かをりのメッセージを受けて、具体的なスーパーマーケットの事例も紹介くださったオマリーさん。若い世代でも関心が広がっているというさまざまなプロジェクトがあると話してくださり、未来を拓く挑戦にインスパイアされ、関心を寄せずにはいられない、そんな情熱あふれるメッセージでした。

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