トークショー
メディアと政治は変わるのか?

男女半々にすることで社会は変わる。自分が動くと岩盤が動く。

津田大介Daisuke Tsuda

ジャーナリスト
メディア・アクティビスト

昨年の国際女性ビジネス会議では、途中一度退席されたにもかかわらず、「こんな空気感の良いところはない」と、夕方のパーティに戻ってきてくださった津田大介さん。そして、やはり昨年も登壇され多くの共感を集めた小島慶子さん。このお二人が東京のメインステージで、メディアと政治をめぐる激論を繰り広げます。

はじめは、津田さんご自身が「去年たぶん一番炎上したトピック」という「あいちトリエンナーレ」について。芸術監督である津田さんが女性のアーティストにチャンスをと、参加作家は男女半々を打ち出した。その後の流れを見ると「一つ嬉しい誤算」があり、愛知県が来年1-2月に開催する芸術祭「境界のかたち 現代美術 in 大府」は参加作家が男女半々になった。「ちゃんと公務員の人たちの意識が変わっている。これはあいちトリエンナーレの成果だと思う」と津田さんは言います。

続いて、朝日新聞の論壇委員6人の構成が、女性1人から3人、つまり男女半々になったことで驚くほどの変化があったと指摘。「ものすごくコミュにケーティブになったし議論も活性化したし、雰囲気がガラリと変わるんだなというのは経験として大きかった」

小島慶子Keiko Kojima

エッセイスト
東京大学大学院情報学環 客員研究員

小島さんは、岸田國士戯曲賞を受賞した市原佐都子さんの記事を引用しつつ、市原さんが受賞者であるにもかかわらず「この賞も審査員のジェンダーバランスが不均衡である、今後は自分も役割を担えるようにならないといけない」と発言した勇気を称えます。

さらに、メディア業界でも政治の世界でも女性が少なく、全体の2割ほどしかいないが、いわゆる紅一点が「女性の代表」になってしまう状況が生まれやすいと指摘。
「当たり前のことですが女性にも多様な意見があり、ある立場の女性が言ったことが他の全女性を代表するわけではない。にもかかわらず、女性の人数が少ないと、一人の意見が女性全体の意見とされてしまう。だからやっぱり、クオータ制とかアファーマティブアクションは必要」

津田さんは、少しずつ変化の兆しはあるとしてアカデミー賞の多様性基準などを紹介し、「日本はまだそこまで行っていないので、いかにそういうものをつくれるかが大事」と強調。また、ご自身のアフターコロナに関する近共著をめぐり、「僕の中にもアンコンシャスバイアスがあると気づいた」と明かします。

切れ味の良いお二人のトークがたたみかけるように続き、あっと言う間にタイムリミットがやってきます。
最後は、「この2年間、あいちトリエンナーレと朝日新聞の論壇で男女半々にして、それだけでこんなに変わるんだと実感できた。企業などで決定権のある人がちゃんと男女半々にしていくことで社会は相当変わる。ぜひ男性にやってほしい」と津田さん。

小島さんは、「構造を変えることはもちろんだが、チャンスが来たら女性はぜひ責任ある立場にチャレンジしてほしい。自分が動けば岩盤を動かせるのだという意識を持って、チャレンジし続けてほしいと心から思います」

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