講演
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感染症との闘いが世界を変える。私たちはいま未来を見ている。

池上 彰Akira Ikegami

ジャーナリスト

ランチネットワーキングを楽しみ、さあ、午後のセッションのスタートです。トップバッターはジャーナリストの池上彰さん。COVID-19により大きく世界が変わる今、私たちはどうすればいいのか、世界史的な観点からお話くださいました。

「人類の歴史は感染症との闘いでもあった」。世界史の教科書には記述されていないが人類はずっと長い間感染症と闘い続け、それによって世界が変わった。そのことを裏付ける2つの例を池上さんは示します。

一つ目は、14世紀のペスト流行。ヨーロッパでは約1億人が亡くなり、大きく社会が変わった。農民の労働条件が改善され、カトリックの権威が失墜してルネッサンスが開花し、やがて宗教改革にも広がっていく。
「つまり、ペストという感染症が広がったことにより、それまでの権威が失墜し、全く新しい動きが出たのです」

二つ目の例は、約100年前の「スペイン風邪」と呼ばれたインフルエンザ。第一次世界大戦でアメリカからヨーロッパに持ち込まれ、同盟国のイギリス、フランス兵にも、敵のドイツ軍にも感染が広がり、両軍の兵士がバタバタと倒れていく事態となった。スペイン風邪によって第一次世界大戦は終わった。そしてこれが第二次世界大戦を引き起こすことになった、とも。

さらには、『ロミオとジュリエット』にも実はペストが関係しているという秘話も披露。池上さんならではの、知的好奇心を刺激するお話が繰り広げられました。


そして、COVID-19という感染症が拡大したことによって、今日もこんな風に世界のどこにいてもみんながオンラインでつながって話ができる。技術がそれを可能にしているといい、DX:デジタルトランスフォーメーションが菅内閣で進められようとしていることに触れて、「これから世界は大きく変わる、まさにGo Beyond」

最後は笑顔であたたかく力強いエールをおくってくださいました。
「私たちは5年先、10年先に起こるであろう現実にCOVID-19に強いられるかたちで直面し、未来をいま見ている。2020年、こんなことがあったからこそ新しい文化文明が生まれたと、生き方が変わったと、50年、100年先の教科書に書かれるような今を意識しながら生きていきましょう!」

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