記念すべき第30回、情熱と活気とともに
「Diversity is the Answer」を体感した1日。
そして、次のステージへ!

1996年から毎年夏に開催されている、日本最大級のダイバーシティカンファレンス「国際女性ビジネス会議」。今年は、記念すべき第30回です。次のステージへ進化するため、このスタイルでは最後の開催となります。

都内ホテルの会場では、7:30過ぎからすでに行列が。8:30のドアオープンまで「待ちきれない!」といった様子で並ぶ多くの参加者は輝くような笑顔で、さっそく名刺交換も始まります。この会議は登壇者が一流であるだけでなく、このようにポジティブな仲間が国内外から集まることで、パワーがつながり、皆で前進し、歴史を重ねてきました。

そのエネルギーの源は、会議創設時から企画、キャスティング、演出などすべてを一人で担ってきた総合プロデューサー・佐々木かをりの情熱です。誰もがダイバーシティを深く体感できるよう考え抜かれ、10時間の映画のように壮大なストーリーを完成させています。今回は、国内外からのべ70名のスピーカーが登場! さまざまな業界での体験、学びが惜しげもなくシェアされる贅沢な一日となりました。

その想いを全身で受け止める参加者は、国籍も年代もさまざまです。今回は24国籍、管理職が6割強、男性は約2割、高校生、大学生、管理職、経営者など、多様な立場と背景を持つ仲間が一堂に会しました。

ドアオープンで席を決めた後は、ダイバーシティ経営推進のパートナー企業が出展した魅力的なブースをめぐる時間です。投資の疑問などを気軽に質問できる野村證券には、早くもたくさんの人が。そして話題のランニングシューズを試し履きできるアシックス。多彩なラーニングの案内と、アメリカから来日したオフィシャルフォトグラファーがプロフィール写真を無料で撮影してくれるリンクトイン。来年の時間管理講座付き手帳「アクションプランナ−2026」を新発売するイー・ウーマン。登壇者の本が並ぶ書籍コーナーも。どのブースにも参加者が続々と集まり、開会までのひとときをたっぷりと楽しみました。

そして、いよいよカンファレンスが開幕! 初めに、石破総理より贈られたビデオメッセージが流れます。地方を含めたダイバーシティへの取り組みが紹介され、「本日の会議がさまざまな立場の方々の視点を集め、自由闊達な議論が行われ、さらなる成長の場となることを心から期待申し上げます」と力強く結ばれました。

会場の大スクリーンには、1996年開催の第1回目から29回目までを振り返る感動的なムービーが映し出されます。時代を鋭く切るテーマ、熱く語り掛けてくる登壇者に、会場全体が高揚感に包まれたところで、基調講演の佐々木かをりが熱い拍手に迎えられて登場しました。

「今回のテーマは、『Diversity is Answer』、ダイバーシティこそが答えだ、という意味です。多様な視点でより良い世界を作ることが答えだということです」と切り出します。そしてこれまでの30年を振り返り、世界の中でも稀に見る幸せな国、日本で暮らし働く自分は、大きな目的に向かって「社会でプラスをつくる」という想いを強くしたこと、長期的に働こうと思っているもしかすると当時10人に1人だったかもしれない30年前の志高い働く女性たちという「点」をつなぐために国際女性ビジネス会議を創設したことなど、熱い想いを語ります。
そして、「ダイバーシティ社会において一番重要なことは個人の内側のダイバーシティ。多様なことに耳を傾け、受け取り、自分の中でさらに良い答えを導き出せる人を増やしていきたい。ここから先は皆さんのエネルギーも発揮し、壇上に熱い視線を注いでいただいて、次の30年に向けて一緒に力を合わせていきたいと思います」と会場に向けて高らかに呼び掛けました。

続いて、これまでにご登壇されてきた小泉進次郎さん、島田由香さん、タイデ・グアジャルドさん、野口聡一さんなどそうそうたる顔ぶれからのビデオメッセージ。そしてここからはノンストップで、20以上の豪華プログラムが展開していきます。午前中は、4つのトークショーです。

「新しいリーダーシップと多様性」では、野村證券副社長の鳥海智絵さん、サントリー食品インターナショナル社長の小野真紀子さん、早稲田大学大学院教授・元M I G A長官の本田桂子さんが、多国籍のチームで起こる課題、その解決と成果、多様性がリーダーにとってどれだけ貴重かなど具体的な経験と学びをシェア。

「多様性と企業価値向上の関係」では、パナソニック コネクト代表取締役の樋口泰行さん、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の浜田直之さん、三菱ふそうトラック・バス副社長の林春樹さん、佐々木かをりが、ダイバーシティ経営が企業に何をもたらすのか、リスク管理やイノベーションに直結する事実とともに、ブラックロックCEOのラリー・フィンク氏の言葉や、イー・ウーマン提供のダイバーシティ経営総合プログラム「ダイバーシティインデックス」で出題される多様性と経済のデータなど企業価値の本質に切り込みます。

続いて、「GDP競争の終焉」。経済キャスターの小谷真生子さん、オリックス シニア・チェアマンの宮内義彦さん、シブサワ・アンド・カンパニー代表取締役の渋澤健さん、ボストンコンサルティンググループ日本共同代表の秋池玲子さんがパワフルに議論したのは、もはやGDPだけでは評価できない今の経済環境。では、どのような考え方が重要なのか? 個人のGDP、幸福度など、これからの時代に必要なのはまさに「ダイバーシティこそが答えだ」という意味での新しい指標を探りました。

英語で行われたセッション「グローバル体験と多様な視点」では、海外体験や言語数と多様性理解の関係性のデータ分析結果が紹介されたのち、伊藤忠商事常務執行役員の茅野みつるさん、NEC Corporate SVP, FP&A部門長の青山朝子さん、セブン&アイ・ホールディングス社外取締役のクリスティン・エドマンさん、アマゾンウェブサービスジャパン社長の白幡晶彦さんが、VUCAの時代でさらに重要度を増す海外体験やマインドセットの意義を語ります。

あっという間に午前のプログラムが終わり、テーブルには華やかなコースランチがサーブされました。この日のために用意された、特別なランチです。前菜、肉や魚のソテー、デザートなどをおいしくいただき、語り合ったあとは、WHOの進藤奈邦子さん、河野太郎さん、藤沢久美さん、松川るいさんなど再びこれまでこの会議に登壇された方々からのビデオメッセージが流れます。続いて「南アフリカサファリで考える動物多様性と私たちの生活」と題し、南アフリカ政府公認サファリガイドの太田ゆかさんが、雄大なサバンナをバックにスクリーンに登場。現地での保護活動などを語るビデオメッセージが紹介されました。

ステージでは、リラックスした午後にふさわしい対談「『赤毛のアン』を新視点で読み解く」がスタート。元N H K・フリーアナウンサーの武内陶子さんが楽しく深掘りしたのは、『赤毛のアン』の翻訳家・研究者の松本侑子さんの研究です。名作に隠された世界観に感銘を受け、これまでの翻訳に書かれていなかった原文から見える多様性などを調べ抜いて新たな訳に挑んでいった研究プロセスから、ダイバーシティを感じる時間となりました。

続いて「多様性を育む外交官の役割」。NHK WorldNewsのキャスターとしてコロナ禍ではマンハッタンからレポートしてくださった高雄美紀さんが、今回は駐日メキシコ大使のMelba Príaさん、駐日ドイツ連邦共和国大使Petra Sigmundさん、南アフリカ共和国大使Annelize Schroederさんに、数年ごとに各国に駐在して国の代表を務めている外交官としての視点や個人のキャリア形成について伺い、たくさんのエピソードを引き出しながら活発にディスカッション。

「昭和100年。規制改革を考える」では、衆議院議員の稲田朋美さんが冒頭にオンラインで登場。いかに規制改革に新しい目が必要かを述べた後、政策研究大学院大学学長の大田弘子さん、日本総合研究所シニアフェローの翁百合さん、規制改革推進会議議長代理の林いづみさんが、昭和から続く規制の改革にどのように挑戦したのか、サイレントマジョリティの声を可視化するために使ったイー・ウーマンの「ダイバーシティ円卓会議」も紹介され、立ちはだかる既得権益などの課題にもあきらめずに突き進む体験をリアルに語りました。このメンバーに佐々木かをりも加わって、内閣府の規制改革会議委員として改革に挑んでいたとのこと。

「女性のリーダーの育て方」では、ジャーナリストの浜田敬子さん、前内閣総理大臣補佐官の矢田稚子さん、東京大学副学長・大学院総合文化研究科教授の矢口祐人さん、品川女子学院 理事長の漆紫穂子さんが登場。海外の大学に比べてはるかに女性比率の低い日本の大学の課題は一体どこにあるのか。親世代の考え方、学校の指導、進学先で学校評価を決めることの影響などを含めて探っていきました。

「AIは多様性を推進できるか」では、OpenAI Japanから執行役 GTMリーダーの佐々木聖治さんとソリューションエンジニアの宇都宮聖子さん、アーティストのスプツニ子!さん、そしてもう一人、なんと生成AIのchappyも議論に参加するという、このカンファレンス始まって以来の展開に! 過去29年間の国際女性ビジネス会議を学習してきたA Iとともに、今後、私たちはどう活用すればよいのか、過去を学ぶA Iが多様性豊かな未来を作れるのかなどをディスカッション。

全体会議の締めくくりは、特別講演「多様な視点で政策提案」。衆議院議員の野田聖子さんはステージ中央に立ち、会場全体に語り掛け、進まない選択的夫婦別姓などを力強くポジティブに、前進させる意欲を語りました。そして朝からの同時通訳も、ここで終了です。

15:30からは、会場が分かれる「円卓会議」。前半と後半、2つの時間帯で各5テーマ、言語別に議論します。参加者は、それぞれから好きなテーマを選び、計2つのセッションに参加できるしくみです。

前半の2テーマは、通訳なしで英語でのセッション。
「50:50 – Changing the Narrative」では、ジャーナリストであり、元ジャパンタイムズ執行役員・編集局長の大門小百合さん、NHK放送文化研究所研究主幹の青木紀美子さん、ニューヨーク・タイムズ日本特派員River Davisさんが登壇し、メディアに登場する人たち、テーマを決定する人たちの多様性の重要性をディスカッションしました。

「The Future Pulse of the Global Economy」では、NEC Corporate SVP, FP&A部門長の青山朝子さん、ニューヨークメロン信託銀行副会長のマシューズ真里氏さん、evergreenp 代表の銭谷美幸さんが、トランプ政権やウクライナ・ロシア情勢などを背景に日本経済と世界経済の展望について議論。

日本語では「日本のこれから。地方都市の成長アイディア」で、ジャーナリストで元NHK解説委員の山本恵子さん、元環境事務次官で日本製鉄顧問の中井徳太郎さん、BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈さん、ジャーナリストで東京家政学院大学特別招聘教授の野村浩子さんが、地方経済の状況、地方での女性活躍、そしてサステナビリティや活性化など、成長アイディアを多様な視点で考えました。

「ダイバーシティ経営が生み出す成果とステップ」では、佐々木かをりがファシリテート。iU情報経営イノベーション専門職大学特任教授でジャーナリストの白河桃子さん、アマゾン ウェブ サービス ジャパン社長の白幡晶彦さん、東京大学客員教授で前会計検査院長の田中弥生さん、野村證券副社長の鳥海智絵さんが、企業価値にプラスを生み出す多様性の事例とステップを外資系の場合、日本企業の場合、そして会計検査院という官の場合と、具体的事例を持ち寄って話し合いました。

「ヒットを生み出す天才たち」では、事業構想大学院大学学長の田中里沙さん、味の素食品事業本部マーケティングデザインセンター副センター長の向井育子さん、テレビ東京「シナぷしゅ」統括プロデューサーの飯田佳奈子さんが登壇。ヒット商品を生み出したストーリーから、多様な視点の重要性、それぞれを商品に作り上げるまでのプロセスなどヒット作りのマインド、更に自分の成長とキャリア形成のつながりを学びました。

それぞれにテーマを選んで、質問しながら活発な議論に加わった参加者たちは、さらに生き生きとした表情です。続いて後半も、5つのテーマから選べます。

英語のセッション「Expand and Scale Up: Succeeding in Global Markets」では、NHK World News部副部長の高雄美紀さん、MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー関美和さん、バンク・オブ・アメリカ在日代表でありBofA証券社長の笹田珠生さん、スクラムベンチャーズ LLC ジェネラル・パートナー 兼 COOの髙橋正巳さんが、企業がグローバルマーケットで強い競争力を得るために必要な事業性、投資家との対話、交渉術など含めてディスカッション。

同じく英語のセッション「Shaping the Future: Become a Global Game-Changer」では、LinkedIn日本代表の田中若菜さん、サンリオ グローバルエグゼクティブブランドアドバイザーの磯野久美子さん、自然電力取締役の磯野久美子さん、電通グループグローバルCHROの谷本美穂さんが、既存の枠組みにとらわれない「ゲームチェンジャー」として自身がどのように学び、成長し、グローバル人材として成長してきたかなどの発想を追求しました。

日本語のセッションは、後半も3テーマです。「女性登用の鍵は働き方改革」では、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さん、石井食品社長の石井智康さん、さくらインターネット社長の田中邦裕さん、オンワードホールディングス社長の保元道宣さんとともに、労働時間短縮などの改革の具体的なプロセスや事例、更にさまざまな成果を議論しました。

「ダイバーシティで組織を動かす具体事例」では、ソフィアメディ社長の伊藤綾さん、高倉&Company共同代表の髙倉千春さん、people first 代表取締役の八木洋介さん、日本マイクロソフト社長の津坂美樹さんとともに、大きな組織で多様性を活かすためのリーダーの決断や役割、そして大成功をしているダイナミックな組織改革事例などがシェアされました。

「女性のキャリア。心・体・健康」では、アーティストでCradle社長のスプツニ子!さん、丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄さん、アシックス常務執行役員の甲田知子さんが登壇し、妊娠、出産、更年期などのケアがDEI経営にどれだけ重要かということの理解と、働く女性のウェルビーイングとして自分自身のこと、組織での課題解決を学びました。

参加者も一緒にディスカッションできる円卓会議は毎年大いに盛り上がり、「時間が足りない!」と言われるほど。今年も高校生から、社会人から活発に質問や提案が飛び交い、具体的な議論をしながらの70分間があっという間に過ぎていきました。

大会場に戻ってのネットワーキングパーティでは、ステージに登壇者が大集合! 「参加者の情熱がすばらしい」「本当に勇気と希望をいただきました」「30年おめでとうございます。次の30年を、絶対にもっと素晴らしい未来に!」など、次々にうれしいコメントをいただきました。パートナー企業の紹介では、ゴールドパートナーをしてくださった野村ホールディングスの奥田社長からの温かなビデオメッセージも!
さらに、マッチングスポンサープログラムで、社会人の支援を受けて参加した高校生や大学生たちの「ありがとうございました! 皆さんの勇気、誠実さ、そして知恵に深く感銘を受けました」「私もこの場に戻れるように、将来スポンサーとして参加し、登壇者としても参加できるくらい大きな存在になりたい」「こんなに生き生きと働く女性たちを初めて見て自分の未来が見えた」「山口から来ました。こんな体験を山口に持ち帰ります」など、みずみずしさあふれる学びと未来への誓いの言葉に、会場が涙しました。
この会議が、30年間という歴史とともにつながりを大切にして、年齢や性別に関係なく多くの人の人生を動かしてきたことがわかります。
その後は、多くの登壇者も含むメンバーのゴスペルクワイヤのライブ。「これからの人生はもっと素晴らしい」という歌声が響くと、会場が一体となって胸を熱くし、涙あふれる時間が続きます。

全員が、朝よりもさらに輝く表情で迎えた最後のひととき。感動や涙を流すビジネス会議は、多分他にはないでしょう。佐々木かをりが感謝を込めて「こんなにやる気のある人たちが国内外から集まり、日曜日に10時間も勉強するということが30年続いている。ぜひ今日の体験をいろいろな人にシェアしてください。発信し続けることがポジティブな力になっていくと思います。今日はありがとうございました!」とメッセージを贈り、熱い拍手のなかで感動の一日が閉幕しました。

2026年からは新たなスタイルで、企業と個人、両方を応援する機会を考えていきます。ご参加いただき、ありがとうございました!