円卓会議103ダイバーシティ経営とは何か。経営改⾰に必要なこと

  • 高岡 浩三
    高岡 浩三

    ネスレ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO

  • 八木 洋介
    八木 洋介

    株式会社people first 代表取締役
    (前 株式会社LIXILグループ執行役副社長)

  • 青山 朝子
    青山 朝子

    コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社
    理事 事業開発統括部長

  • 佐々木 かをり
    佐々木 かをり

    株式会社イー・ウーマン代表取締役社長
    株式会社ユニカルインターナショナル代表取締役社長


ダイバーシティのない企業は成長しない。

「ダイバーシティ経営の円卓会議を高校生が選ぶ時代がきました」と会場にセーラー服姿の高校生たちを見つけた佐々木かをりの挨拶から始まった円卓会議103「ダイバーシティ経営とは何か。経営改革に必要なこと」。まず最初に八木洋介さんにマイクを向けます。
「そもそもダイバーシティ経営なんていう言葉がおかしい。経営はダイバーシティそのもの。イノベーションを起こすのも、組織に活力を生むのもダイバーシティ。データを見ると小学校から大学まで女性の方が成績がいいのに、社会に出たらその人たちを活用していない。労働者の44%を女性が占めるのに、管理職比率は10%程度では、女性たちにやる気を出すなと言っているようなものです。そんな国、企業が勝てるわけがない」と、ダイバーシティの重要性を歯切れよくコメント。

ネスレ日本社長の高岡浩三さんは、9年前の社長着任以来、女性管理職を増やす、新卒一括採用は止めるなど大胆な人事改革を行ってきた経験を語り、ダイバーシティには「終身雇用からの決別」の大切さを力説。一方で「転勤を必要しないでキャリアを作れるポジションは20%のみ」という高岡さんの発言から「出世に転勤必要か」という議論に火がつき、熱が入ります。

またコカ・コーラボトラーズで「日本の伝統的な男社会のような会社と、カルチャーが一気に欧米化した会社と、全く違う文化の企業が統合する」際のトランスフォーメーションリーダーを果たした青山朝子さん。「2つの異なるものを1つにまとめたからダイバーシティが達成できたのではなく、いろいろな意見を言い合ってその中から良いものを掴み取るのがダイバーシティ」。丁寧に実践したという、ハーバードビジネスレビューでも書かれている「8つの変革のステップ」を具体的に会場にシェアしました。

会場の参加者とのディスカッションには、会場からは待ってましたとばかりにたくさんの手が挙がります。公認会計士の女性は、「社外役員などの立場からダイバーシティを推進するには何が求められているか」と質問。二つの会社の社外取締役をしている方からは、「転勤が女性でも選べるような仕組みづくりができるのもダイバーシティではないか」、日本企業の経営者から「日本語のあいまい性がダイバーシティを阻害しているのでは」という意見など、時間いっぱいまで熱い議論が繰り広げられました。

最後は、スピーカーから一言ずつ。「女はゲタを履いているというヤツには、男は男性というゲタと年齢というゲタの2足も履いているじゃないかと言ってください」と八木さん。「上司は変えられない。また上に行かないとできない仕事がある、だから社長になりたい、トップまで登り詰めたいと、みなさんに思ってほしい。そうでないと変わらない。それを僕たちは応援します」と高岡さん。青山さんは、「スケールアップは全てにつながる。コンフィデンスと一歩前へ」とエールを。3人の力強いメッセージを受け、「ダイバーシティ経営という言葉は、一つの方向から見て合意してきた時代が終わり、全員がプラスをつくるために意見を出す時代になった、ということ。今、私たちが働いている企業で、まず一歩一歩前進していきましょう!」と、佐々木かをりが会場に力強く呼びかけて、大きな拍手とともに終了となりました。

イー・ウーマンピアからのレポート

「経営改革に必要なこと」


イー・ウーマン社が新規事業として、「THE BOARD」という社内外の取締役、また将来の候補となるような女性エグゼクティブや経営者向けの会員サービスを立ち上げられたことに関心を持っていたこともあり、この円卓会議に出席させていただきました。国際女性ビジネス会議では、最前列から席が埋まっていきます。

ネスレ日本社の高岡浩三社長兼CEOからアメリカとヨーロッパの外資は違っており、戦略も違っていることや日本人の社員が中心の場合、男性も女性もダイバーシティが欠けていることについてご解説いただいたことがとても印象に残っております。

また佐々木かをり社長の「女性を上にあげていくのは難しいですか?」とのご質問に、高岡氏は「結婚、出産が問題ではなく、転勤ができるかどうかが問題だが、転勤をしなくてもいいようにしたい」、people first社の八木洋介代表取締役は「転勤を否定はしないが、できなかったら役員になれないというのは違う。大事なことは、しっかりとした経営の軸を持っているかどうかです」とご指導してくださいました。

その他にも、コカ・コーラボトラーズジャパン社の青山朝子理事の「ビジョンがないと、いろいろな人がいるので、途中でぶれます」、高岡氏の「古い思い込みを壊していくことが大切」、八木氏の「人生100年時代を考えるとひとつの職業では危ない」、「米国では、ダイバーシティをやっていない会社に投資はしない」、佐々木社長の「自分から見える景色をきちんと言うことが大切」とのお言葉も大変お勉強になりました。

会場は満席で、男性の方々も結構いらっしゃったり、志の高いセーラー服姿の女子高生もいらっしゃいました。会議は始終、笑いが絶えず、質問をする人も多く、すごい熱気に包まれて、終了時には大きな拍手が鳴り止みませんでした。

マカロン71