REPORT


講演40歳のインターン



「リロンチャー(復職する人)のためのインターンシップ・プログラム。 日本でも、チャンスが広がろうとしています」

2つ目の講演で登壇されたのは、復職者のキャリア再開戦略を進めるiRelaunch の最高経営責任者、キャロル・フィッシュマン・コーエンさん。「来日は今回で3度目です」と語るパワフルな声が、会場いっぱいに響き渡りました。 「初来日は2008年でした。8年間で、日本ではこのトピックがどう進化してきたのでしょうか」 コーエンさんが語る「トピック」とは、「復職者のためのインターンシップ・プログラム」です。




「『インターン』といえば、大学生や大学院生が短期間働くというイメージでしょう。私が語るインターンは、子育てなどでいったん仕事から離れ、復職する人のためのものです。このプログラムがアメリカでどう発展してきたかをお話したいと思います」 ご自身も4人のお子さんを育てるために11年間の休職を経験されていること、最後の2年間は復職を強く願ったことなど、当時のプライベート写真なども交えながら語るコーエンさん。飾り気のないその素顔に、会場のみなさんもグングン惹きつけられていきます。

「休職する前は投資銀行に勤めていました。ベイン・キャピタルに復職後、その経験と、100人以上へのインタビューをまとめた記事が本になり、2007年に出版されています」 コーエンさんの記事は、ハーバード・ビジネススクールの事例研究となっています。 その後、iRelaunchを設立し、大手企業の復職支援プログラムを進めています。

「アメリカでは、復職インターンシップ・プログラムはひとつのツールとして関心が高まっています。雇用する側は実際の仕事ぶりを見て評価ができ、キャリアを中断した人の雇用にともなうリスクを減らすことができます。また、個人に向けてのサービスも行っています。ネットワークの再活性化や、新しい用語を覚えること。『自信』という課題もあります。ここも私たちがサポートしている領域です」 現在、金融業界などの大手企業が続々とプログラムを導入している現状を、豊富な映像とともに紹介していくコーエンさん。2010年からはさまざまな企業を調査し、ハーバードビジネスレビューの記事「40歳のインターン」も執筆されました。さらにこのコンセプトを、女性の活躍が少ない理数系の分野に広げ、技術系の世界大手企業もプログラムを導入。女性エンジニアにもチャンスが広がっています。

そして、日本、韓国、インドでも導入する企業があらわれている今。 「なぜ、リロンチャー(再就職する人)は素晴らしいのか? エネルギー、やる気が高いのです。日本でも、起ころうとしています。インターンシップを使って復職するチャンスが!」 キャリアを積んだ女性たちの「再び社会とつながりたい」という気持ちを後押しし、雇用される側、雇用する側をともに前進させるプログラム。午後の円卓会議でも登壇されるコーエンさんへの期待が大きくふくらみ、会場全体から感動の拍手が送られました。