REPORT


円卓会議 204新しい経済。シェアリングエコノミー



金谷元気さん


髙橋正巳さん

テクノロジーやネットワークの発展によって、世界中で「シェアリング」という新しいビジネスが爆発的に広がっています。この円卓会議では、最先端のビジネスリーダーと規制改革の専門家をスピーカーに迎え、シェアリングエコノミーの最新事情や背景、リスクや障壁、今後の展望などをディスカッションします。

akippaは、全国の空いている月極駐車場や個人宅の使っていない駐車場を、15分単位で30日前から予約できるアプリ。コインパーキングより簡単・便利・安価というのが特長で、「2年間で現在全国7000カ所まで広がった。今年中には1万、来年には1万5千を超えるペースで広げている」と、akippa株式会社代表取締役社長の金谷元気さん。
「世の中から必要とされる事業、人々の不便を解消するビジネスを始めようという思いからスタートし、スマホの普及によって急激に広がった」といい、「規制や反発なども一切なくて自由にやらせてもらっている。こんなにすいすいやれるのはakippaぐらいかと思う」と、明るく語ります。

一方、全世界70カ国以上、450の都市で、スマホのボタンを押すと車が来てくれたり物を運んでくれたりする技術のプラットフォームを提供するUber Japan 株式会社 執行役員社長の髙橋正巳さんは、海外ではマイカーのシェアリングも進んでいるが日本では現在はタクシーやハイヤー会社との提携によってサービスを提供している実情に言及。
また、最新動向として、5月に始まった京都府京丹後市丹後町での取り組みに触れ、「過疎化の進んで交通の便も良くない町で、地域の方がマイカーを使って空き時間にドライバーになり、今まで動けなくて困っていたお年寄りが自由に動けるようになる」という問題解決が注目され、すでに多くの自治体から問い合わせをいただいているとのこと。


安念潤司さん


翁 百合さん

「シェアリングエコノミーというのは、余っているものを足りない人に使ってもらうというのが基本で、人間が昔からやっている物々交換のようなもの。取引量がべらぼうに大きくなるところを、通信技術の発達によってコストを下げることが出来たので可能になった。今後はもっといろいろなところに広がって行くだろう」と明言する安念潤司さんは、民泊に関する規制緩和に尽力された専門家。「民泊の問題は日本におけるシェアリングエコノミーの一種の試金石だった」とし、ゴミ出しや騒音の問題などに対する解決策、宿泊は年間180日までというルールについてなど、規制緩和の実情と問題意識を語ります。

ファシリテーターの翁百合さんは、規制改革会議の委員として、また、ご自身の幅広い研究の視点から、「ありとあらゆるものがスマホとネットワークを使ってシェアできる時代になり、全世界的に大きな広がりとなっている。特に先進国では、所有をすることにあまり価値を見いださなくなっている人たちも増えている。」とし、「本当に必要なときに本当に必要なサービスを、所有するよりも利用したいという人たちのニーズに、シェアリングというのは合っている」と分析。

さらに、「シェアリングはサービスの新旧交代や置き換えではなく、新しい市場をつくっている」と、金谷さん。「海外では乗車回数が4倍になり、市場のパイが拡大。プラスの影響が大きい」と、高橋さん。「余っているものには、無限の広がりがある。よくわからないところが実にエキサイティング」と安念さん。この新しい経済の形に会場中の人が引き込まれ、終始、ワクワク感が共有されているようでした。

質疑応答の時間には、アメリカで実際にウーバーを利用した方からの発言や、「シェアリングによる経済的縮小は起きないのか」という大学1年生の鋭い質問、通勤の動線をサポートが出来ないかという提案などが続々と出て、シェアリングエコノミーの加速度的な発展を予感させるディスカッションとなりました。

イー・ウーマンピアからのリポート

イー・ウーマンピアとは

どいどいを さん

「グレーゾーン」

「新しいビジネスは、どうしても法律的には“グレーゾーン”になりがち」という言葉が印象に残っています。今あるビジネスに、何かしらの法律で「網がかかる」のは、日本の社会制度が十分に整備されている証拠で、そのこと自体は決して悪いことではないのだと思います。凡人は「こんな事業をやって大丈夫かな?」「法律にひっかからないかな?」と思いがちですが、そこを(良い意味で)あまり心配せず、「(法律より先に)世の中を便利にしてしまおう」と思うところから、イノベーションが生まれるのでしょう。
その一方で、実は自宅の近所にリゾート開発計画が持ち上がっています。一部の住民はインバウンドを見込んで、早くもAirBnBに登録を始めた一方、子育て・老後の環境悪化を懸念する住民との間で、溝が生まれそうな気配です。シェアリングエコノミーを巡る法制度については、拙速な肯定論・否定論ともに当事者として疑問を感じており、第一人者達の「生の声」を聞けたのは、生活者としても収穫でした。