REPORT


円卓会議 203議員になる。政治を変える。



中川 正春さん


村上由美子さん

国会議員である3名の方を迎え、これからの日本に私たちの視点や提案をどう活かしていくのかを考える円卓会議です。ファシリテーターは、OECDの東京センター所長として政府や民間に経済政策提言などを行っている村上由美子さんが務めます。

衆議院議員の中川正春さんは、日本で女性議員が増えないことに警鐘を鳴らしています。「そもそも、男性の立場からなぜ?」と尋ねる村上さんに、「こんな感じになったのはつい最近。もともとは普通のおじさんで…」と中川さんが答え、楽し気な笑い声に包まれてのスタートとなりました。

中川さんが意識を変えたきっかけは、APEC 女性と経済のフォーラムで各国の女性議員たちに多く接したこと、また、女性議員の活躍が特に目覚ましい北欧の国会議員と話す機会が多かったことと言います。
「北欧は、女性のためだけでなく男性も含めて、人間性を回復できる社会の環境をつくってきたと実感しました。これから日本の転換点があり、そこで女性が”てこ”になることで、成熟した社会、人間性が本当に発揮できる社会になるんじゃないかなと思います」

参院選で当選されたばかりの議員、松川るいさんの前職は、外務省の女性参画推進室の初代室長。昨年も国際女性ビジネス会議に登壇されており、「世界の女性活躍の知恵を集めてくる立場から、今度は自分がチャレンジする立場になってとてもうれしい」と語ります。
「私には8歳と2歳の娘がいて、夫もいます。家族を大事にしながら国会議員ができるようにならないと、女性議員が増えるはずがない。自分がそれを実証していきたい」


石井苗子さん


松川るいさん

同じく参議院議員となったばかりの石井 苗子さんが立候補したきっかけは東日本大震災。保健師として仮設住宅で支援活動を進め、現在も継続されています。そんななか、熊本地震では様々な支援の制度がほとんど進化していないことに愕然としたと言います。
「支援の現場で東日本大震災のときと同じミスが起こっており、居てもたってもいられない気持ちになりました。現場の声を反映した制度に変えていかなければと」
さらに子育て支援、教育、介護という女性に負担がかかっている現状の課題に、女性ならではの実感をもって取り組みたいと語りました。

村上さんは、「国際統計をみると、女性議員が多いほど安定政権が保てることがわかります」と、女性の国会議員を増やすことのメリットをデータとともに解説。さらに教育現場において「答えは一つじゃないかもしれないという考え方を小さいころから始めておくことが重要。そうすれば政治に対する興味が出て、女性議員も増えるのでは」と提案します。

後半、会場からは「女性議員を増やすために、私たちができることは?」「18歳になったばかりで選挙にも行ったが、政治がよくわからないという声も多い。まず若者が自分から変わらなければならないことは?」など質問が次々と上がり、活発な議論が展開されました。

最後に、登壇者からメッセージが贈られます。中川さんは「自分の視点で作りあげていく政治の世界はおもしろい。ぜひ志をもって手を上げてほしい」、松川さんは「政治が身近な会話になることが増えるといいなと思う。そのカギは女性」、そして石井さんが「この国に希望がなくなってきていることを非常に心配しています。人の絆を希望に変えることが、政治を変えるということ」と力強く締めくくり、熱い拍手のなかで会議が終了しました。