REPORT


円卓会議 104「マネー」での経営変革

  • 関根 愛子
    関根 愛子

    PwCあらた有限責任監査法人 パートナー

  • 鳥海 智絵
    鳥海 智絵

    野村信託銀行株式会社 執行役社長
    野村ホールディングス株式会社
    執行役員 バンキング担当

  • 直川 紀夫
    直川 紀夫

    株式会社資生堂
    執行役員 最高財務責任者 CFO

  • 青山 朝子
    青山 朝子

    コカ・コーライーストジャパン株式会社
    常務執行役員
    コマーシャルファイナンス統括部長



青山朝子さん


鳥海智絵さん

経営の見える化、戦略の立て方など、経営とマネーは常に密接な関係にあります。この円卓会議では、マネーなど「数字」がもつ意味について、働く人に役立つ最前線の視点でディスカッションしていきます。ファシリテーターは、日本最大のコカ・コーラボトラーである「コカ・コーライーストジャパン株式会社」の常務執行役員 コマーシャルファイナンス統括部長として、営業本部のCFOの役割を担っている青山朝子さんです。

野村證券に入社し、2014年に野村信託銀行の社長となった鳥海智絵さんは、数字を使った経営改革の具体的なケースとして、KPIの立て方を挙げます。 「KPIの立て方に『意思を入れる』ということを考えました。それまでのKPIは、簡単に達成できそうなものを各部で設定し、できてもできなくても変わらないんじゃないかというところがあった。それを、何々部と何々部のクロスセルとか、一緒に協働することで案件をつくるのを今年度は何件など、チームとしての実績につながる成果を発揮するために、見える化すべきものを考えて進めました」

数字の見える化について、資生堂のCFOである直川紀夫さんは「3つの目的」を語ります。 「1つ目は、お客様の変化を迅速にとらえ、迅速に対応するため。2つ目は、社員が成果を実感するため。そして3つ目は経営陣のアカウンタビリティを高めるため。やはり数字があいまいだと、経営陣のアカウンタビリティがなくなっていきますから」
さらに、日々の売り上げを役員へ毎日配信して「意思の醸成、マインドセット」を図るなどの具体的な事例をお話してくださいました。

続いて、経営を「外部から見る」という別の視点で、PwCあらた有限責任監査法人パートナーの関根愛子さんが語ります。 「監査というとPCに向かって数字をチェックしているというイメージを持たれますが、本質的なことは『数字のもつ意味を考える』ということ。特に日本人は、いい意味でも悪い意味でも数字をすぐに信用します。しかし実際には正しくないこともあるし、より適切に示されていないこともあります。作っている人の考えだけでなく、外部から見て説得力があるかどうかを、私たちが見ていかなければいけない」


直川 紀夫さん


関根 愛子さん

後半はQ&Aタイムです。「AIなどの発展にともない、数字を扱う仕事の仕方が変わると言われる。今からどんな能力や経験を積めばよいか」「技術職で管理職に。今日の話で、見える化することでよりよい生産活動ができると思ったが、製造の現場でその重要性を伝えるための施策は?」など、みなさんが直面しているリアルな課題がシェアされます。

外資系のIT企業で経理をしている方から「グローバル市場のなかで日本のマーケットにもっと投資してもらうためには」という質問には、青山さんがコカ・コーラでの経験を踏まえ「日本が利益を出しているにも関わらず、アピールできていなくて歯痒いというのはわかります。今、うなずいている方が何人かいるのでご経験があると思いますが(笑)、日本人は結果を出すまでコツコツ積み上げ、その時間が長いので忘れられてしまう。小さなサクセスも発信し、日本からもっと学びたいと思われるようにしていきたい」と提案しました。

最後にパネリストのみなさんから、あくまでも数字はツールであり、大切なことは一人ひとりの想い、企業価値の向上や自身の成長のために数字を活用することの意義について熱いメッセージが贈られます。そして「続きはまたパーティで!」という青山さんのまとめの言葉で、大きな期待ととともに会議が終わりました。

イー・ウーマンピアからのリポート

イー・ウーマンピアとは

どいどいを さん

「見せられる化」

「見える化」「可視化」という言葉自体は、10年近く前から言われており、ある程度実現できている/しつつある会社は少なくないと思います。その手段として、「数字」すなわち「マネー」を使うというのも、とりたてて新しい話ではないというのが正直なところでした。衝撃だったのは、“その「数字」を毎日配信して、いわば「突きつけ」続けないと意味が無い。経営者であろうと社員であろうと、数字にして見せ続けないとコミットメントは薄れてしまう。”という登壇者のお話です。思い当たるフシが山ほどありました。自分も怠けているつもりは無いですが、日々のタスクをこなしていると、自分の仕事を客観視することを忘れがちです。毎日数字を「見せられる化」されたら、さすがに何か手を打たざるを得なくなることでしょう。
また、この「毎日配信する」という行為は、全体セッションの中で何人かの登壇者が共通して指摘されていた、「日本人は、良い仕事をしているのに、“小さなサクセス”をこまめにアピールするのが下手で埋もれがち。」というお話にも通じるものがあります。