トークショー日本のスケールアップのために

  • 野田 聖子
    野田 聖子

    衆議院予算委員長
    自由民主党
    衆議院議員

  • 小島 慶子
    小島 慶子

    エッセイスト
    東京大学大学院情報学環客員研究員


政治には鳥の目と虫の目がある。これからは、虫の目で一人一人を見る時代

日本をスケールアップさせるには、政治の視点から何が課題なのか。参議院議員選挙を控えてお忙しい野田聖子議員に、オーストラリア・パースから駆け付けてくださった小島慶子さんがインタビュー形式でお話を聞きました。

まず小島さんが、最近ニュースになった男性の育児休暇義務化を目指す自民党議員連盟の動きについて、経緯や周囲の反応を質問。野田さんは、「女性の能力を引き出すことが国策として第一義であるにもかかわらず、なかなか進まない。口で言ってもわからないので、法律をつくることにした」。さらに、自民党は男性が9割、多くの人が育休義務化と言ってもぴんと来ていないようだと言い、これを「想像力の欠如」と指摘すると、会場からはどっと笑いが起こります。

女性の能力を過小評価している男性や、昭和時代的働き方のマインドセットがまだ変わっていない男性が多く、そういう人たちは男性が育児をすることを想像できない。彼らの意識を改革するには、法律などで見える化するしかないという野田さんの主張に、「男性が育児や介護のために職場を離れるのが当たり前の風景になる、その布石になると良いですね」と、小島さん。

トークの後半は、女性議員をどう増やすかに話題が展開。野田さんが33年前に議員の仕事を始めた頃は、「大相撲と国会議員は男の仕事。議員になりたければジェンダーを変えなさい」という環境だったと振り返り、「政治分野における男女共同参画推進法」(候補者男女均等法)が誕生したことや今年の参議院議員選挙候補者の3割近くが女性であることは、「202030」の数値目標に近づけたのではないかとの見方を示します。

「国会の風景として、もし女性が半分ぐらいになったとして、その女性の中にも多様性が必要ですよね」との小島さんの投げかけには、「もうこれからは、女性とか障害者と呼ぶような括りはやめようと思う。グループとして括るのではなくて、一人一人を見る時代。組織あっての人ではなく、一人一人の個性を大切にする。政治には鳥の目と虫の目があって、これからは、虫の目で一人一人を見る時代。組織に予算をつけるのではなく、人にお金を使うことがイノベーション」と、力を込めて語ります。

最後に、「自分と違う意見をシャットアウトするのでなく、どれだけ吸い込むことができるかがスケールアップにつながる」との言葉に、大きな拍手が沸き起こりました。