基調講演私の仕事論


ピンチは成長のチャンス。考え方ひとつで行動は変えられます。

佐々木かをりから「この会場の温度をさらに2度3度、上げてくれるのではないかと期待している」と紹介された諏訪貴子さんが壇上に。明るく弾けるような声で、パワフルなスピーチが始まりました。


テレビドラマ化もされた諏訪さんの人生は、まさに波乱万丈。そのなかで「強くなれ、大きくなれと、自分に言い聞かせてここまでやってきた」と語ります。大学卒業後に大手メーカーへ就職、その後、専業主婦として子育ての日々を送っていたときに、父親が急逝。32歳の若さで、町工場であるダイヤ精機株式会社の二代目社長となります。

「イチかバチかでした。町工場は“てめえ、このヤロー!”の世界。この人たちを束ねなければならない。将来を見据えていろいろな改革を始めましたが、社員は反発しました。そして銀行など周囲からの評価も厳しかった。こんなに頑張っているのに、なんでみんな反対するんだろうと毎日泣いていました」
諏訪さんの言葉に、会場からは笑いが起こったり、しんと静まり返ったり。共感の輪が広がっていきます。

「そんなときに出会ったのが、シェイクスピアの言葉でした。『人には幸も不幸もない。考え方次第だ』と。社員に責められている日々だけど、考え方を変えれば、みんな辞めずにああだこうだ言ってくれている。会社のことを考えてくれている。そして、私は他の人にはできない経験をたくさんさせてもらっている。私は幸せなんだと」

考え方を切り替え、すっかり前向きになった諏訪さん。リーマンショックの際に経営が落ち込んでも「今できることをやる」と決意し、広告塔となって積極的に表舞台へ立ちます。「有名になるために賞を取りに行くことに決めた」という諏訪さんは、ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞などの評価を得ると、今度は「目立ちたがり」といった心ない言葉を投げつけられることも。そこでは、「受け流す強さ」も身につけたと語ります。
「親の七光りだと言われたときには、『私、光ってますか? ありがとうございます!』と返しました」というエピソードには、会場がどっと沸きました。


最後に語ってくださったのは、スケールアップのためにやっていること。
「リミッターを外すために、考え方を変えてみる。人の行動は、考え方ひとつで良くも悪くもなります。そして、自分の信念に従う。ときどきアホになることも大切。先が見えないと不安になりますが、それを楽しめると器が広がります。人生は一度きり。それなら、楽しんで後悔しない道を、ぜひ進んでいただきたいと思います」

大きな波をものともせず、笑顔で乗り切る。「ピンチが大好き。成長のチャンスだから」という諏訪さんのパワーが、参加者一人一人の表情を輝かせるひとときとなりました。