トークショーLife is Life

  • 茂木 健一郎
    茂木 健一郎

    脳科学者
    ソニーコンピュータサイエンス 研究所シニアリサーチャー
    東京大学、大阪大学、日本女子大学非常勤講師

  • 高雄 美紀
    高雄 美紀

    NHKワールド 英語ニュースキャスター


ネガティブなこともポジティブなことも全部エネルギーにして生きてきた。
すべては力に変えて行ける!

Life is Life写真

盛大な拍手におくられて小泉新次郎さんが退場されると、今度はステージに茂木健一郎さん、有森裕子さん、高雄美紀さんが登壇。アトランタ五輪のマラソンで銅メダルに輝き「初めて自分で自分を褒めたいと思います」の名言が生まれた、あの感動的なシーンがスクリーンに映し出され、有森さんに大きな拍手がおくられます。

「あの一言は2回目のオリンピックだからこその、究極の自分だけの納得から出た言葉」と語る有森さん。バルセロナ五輪の女子マラソンで銀メダルを獲得した後、次はどうしようかという時に、さらなる進化・発展を望む自分に対し、周囲からは逆風が強かったといいます。メダリストといっても現実は厳しく、自分の思いは誰も聞いてくれない、だからこそ次のオリンピックにも出なければならない。
「そこで踏ん張るのが一番しんどかった。何度も折れそうになった。自分の人生のために走って来たのだから前に進まなきゃと、もう一度オリンピックを目指してメダルをとれた。そんなことから出たのがあの一言」と、言葉の奥に潜んでいた胸が熱くなるような秘話を、最初に明かしてくださいました。

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「脳の報酬系の働きから、有森さんの人生の喜びを私なりに分析すると、オリンピックでメダルをとったのは一つの頂点だけど、そこに至る人生のエポックメイキングな瞬間がいくつかある。そういうエポックはここに居るみなさん一人ひとりの人生にもあるわけですよ、別にオリンピックという脚光が当たるインフラがなくてもね」。茂木健一郎さんは、ハイテンションのトーク、ステージ上で立ち上がって会場を湧かせます。

「ここに参加している人たちは現代のグローバル資本主義の勝ち組。もっといろんな人に来てもらわないとダイバーシティじゃないんじゃない、佐々木さん」と、ジョークまじりに実行委員長の佐々木かをりに話しかけ、二人のトークが交錯する場面も!

すると、ファシリテーターの高雄美紀さんはこう問いかけます。「ここにいるみなさん一人ひとりが、置かれている状況が違い、ハードルもそれぞれ違う。有森さんのハードルは、女性としてのハードルではなく一人の人間としてのハードルだった。それを超えて来たポジティブなエネルギーはどこから引っ張りだされてくるのか」。

それに答えて有森さんは、人と違うことにチャレンジすることの楽しさ、みんなが満足してしまうことでも自分は求め続ける姿勢を語り、「ネガティブなことでもポジティブなことでも全部エネルギーにして生きてきた。どんなものも力に変えて行こうと思える能力が圧倒的にないと、マランソンは出来ない。それは日々の生活でも同じこと」と、力強く人生を振り返ります。
さらに続けて「女性であろうが男性であろうが、自分が持っているものを一度振り返ってみると、全部を力に変えて行ける」と、固定観念を外して考えることの大切さを強調。

茂木さんは、「男女の脳の能力差はない」と明言。人類最初のプログラマーが女性であったことや、IQにも男女差がないことなどを示しつつ、「みなさん一人ひとりの中に重要なリソースがあり、ストーリーがある。それを掘り起こす作業をぜひしてもらいたい」と、会場の女性たちにエールを。

最後に、「今日この会議から1年間。自分がどう変わったかを見ていきましょう」と高雄さんが呼びかけ、ハイテンションで刺激的なトークショーが終了しました。

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