講演男性の意識。どう変える?

  • 松本 晃
    松本 晃

    カルビー株式会社 代表取締役会長 兼 CEO

  • サシン・N・シャー
    サシン・N・シャー

    メットライフ生命保険株式会社 取締役
    代表執行役 会長 社長 最高経営責任者

  • 荒木 直也
    荒木 直也

    株式会社阪急阪神百貨店 代表取締役社長

  • 高雄 美紀
    高雄 美紀

    NHKワールド
    英語ニュースキャスター


経営者が力尽くでやって成果を出す、
腹落ちさせてアクションを起こす、ゴールを設定してリスクをとる。

「男性の意識。どう変える」写真
「男性の意識。どう変える」写真

今日ここまでの講演で、既に多くの方が「女性の管理職を増やすことが課題」と指摘されています。女性の管理職を増やすために欠かせないのは男性の意識改革。トップマネジメントの男性の意識は変わっているのか、どうやって変えていけばいいのか、3人の男性トップに英語と日本語で議論いただきました。

まず、ファシリテーターの高雄美紀さん(NHKワールドニュース 英語キャスター)は、「毎年、男性の参加者が増えて、今年は特に目立っているように感じる。学生もお子さんも増えていて、この会議はどんどんダイバーシティになっている。女性活躍についてご自身がどう意識されているかを伺いたい」と、男性3人に投げかけます。

「男性の意識。どう変える」写真

すると、ダイバーシティ推進の旗手として注目されるカルビー会長の松本晃さんは、「男性の意識を変えるなんてろくでもないことを考えないほうがいい」とバッサリ。続けて「男性の意識は変わらない。ダイバーシティはお金、権力、地位・身分の3つの既得権を奪う。こんな楽しいものを持ってしまった人が手放すわけがない。だから私はカルビーで既得権を奪うことをずっとやってきた。ダイバーシティと働き方改革、この二つを同時に進めるには、むきになって、抵抗勢力なんてけとばして、力づくでやるしかない。本当に会社をよくしたい、成果を出したいという経営者は、力づくでやるしかない。嫌われてもやるのがマネジメントの仕事」。

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阪急阪神百貨店社長の荒木直也さんは、「アパレル依存のビジネスモデルにおいては、男性のパワーゲームが効率的で上手くいっていた。それが2年程前から崩れ、マスビジネスからスモールビジネスに形を変えていかねばならない時代になってきた。そうなったら、顧客の85%を占める女性の気持ちがわかる女性従業員を活かしていかなければ立ち行かなくなる。そう腹落ちしたのが2年ほど前。いったん腹落ちすると意思を持って持続的にアクションを起こしていける」と、トップマネジメントが女性活躍について「腹落ち」することの大切さを強調。

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メットライフ生命(日本法人)の最高経営責任者サシン・N・シャーさんは、「日本の外資系企業ではオープンマインド、野心的、バイリンガルの女性が多い。それは私たちのビジネスにとって重要。保険や金融サービスでは大きな変化が起きていて、伝統的なビジネスモデルでは上手くいかない。同じようなやり方では変化はつくれない。日本の企業は、ベンチマークを国内の競合他社からグローバルに変えなければならない。誰も設定していないようなターゲットを設定するリスクをとる必要がある」。

そして後半は、ターゲット、ゴールの話題へ。
メットライフ生命(日本法人)では、「女性のマネージャーを30%以上にすると設定した。組織全体が大きなターゲットを設定してチャレンジせざるを得ない」。
「百貨店の場合、管理職という言葉を再定義する必要があるが、将来的には50%ぐらいは女性がミドルマネジメントをやらなければならない」と、荒木さん。
松本さんは、「202030はちゃんと達成する。カルビーはいま24.3%、1年に2%ずつ上げて、2020年までにどこを切っても30%にする。ゴールは50でいいわけですからね」と国が提唱した2020年までに各企業で指導的立場につく女性を30%にする、という目標を達成することを宣言、その上で日本社会が変わるスピードの遅さを鋭く指摘。

英語と日本語を使い分けて軽快に進行する高雄さんが、「意識はさておき、結果を出さなければいけない時代になっている。生きていくうえでの考え方がダイバーシティにならなければいけない」と締めくくりました。
時間が足りない、もっと議論したいとの思いを残しながら、プログラムはスピーディに次へと進んで行きます。

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