リポート

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円卓会議103

市場を創る!新ブランド・新商品開発の仕掛人

池貝 知子さん

池貝 知子さん

株式会社アイケイジー 代表取締役 空間プロデューサー

平出 淑恵さん

平出 淑恵さん

酒サムライコーディネーター

向井 育子さん

向井 育子さん

味の素株式会社 家庭用事業部 新領域開発グループ

石黒 不二代さん

石黒 不二代さん(F)

ネットイヤーグループ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

※ Fはファシリテータです。

全体写真

この円卓会議では、既存の店舗とは全く異なるコンセプトの「代官山T-SITE」の蔦屋書店をつくった池貝さん、海外に日本酒の新しいマーケットを作ろうと仕掛けている平出さん、味の素で次々ヒット商品を生み出している向井さん、そして上場企業経営者として独自のブランドを確立している石黒さんの4人が、ゲームチェンジの発想、挑戦と障壁、変えるために必要なことなどを率直に語り合いました。

平出 淑恵さん

平出 淑恵さん

向井 育子さん

向井 育子さん

最初の自己紹介で、「午前中もそうでしたが、これだけ多くの女性に日本酒の可能性を語れるということで、足はガクガクしている一方、胸は高鳴っています。」と言う平出さんに、すかさずファシリテーターの石黒さんが「以前はCAで空の上にいらした平出さんだから、地上ならガクガクしませんよね(笑)」と切り返し、会場の空気が一気に和みます。

「政府の仕事で、今、イノベーションの定義をし直している」という石黒さんは、「『技術革新』と訳されるが、本当はそんなに大袈裟なことでなくても、挨拶の仕方を変えたりするような小さな変化も含めてイノベーションだと思う。ここに居る3人の方に通じるのはイノベーション、そのきっかけは何でしたか?」と投げかけます。

「最初に当社の伝統的な商品の品種展開を担当した時、つくった商品が店頭に並んでいるのを見て可愛いと思えなかった。自分が可愛いと思えるもの、本当に愛せるものをつくらないと、周囲の人にも私の想いが伝わらないし動いてもらえない。まず自分が愛して、買ってくれる人の事を思ってつくらないといけないと気づいたのが、変わった瞬間だった」と答える向井さん。

池貝 知子さん

池貝 知子さん

石黒 不二代さん

石黒 不二代さん

池貝さんは、「渋谷でも六本木でもない。昔から住んでいる代官山の人にも受け容れられる、そういう落としどころを見つけられたのがイノベーションだったと思う。そこだけが格好良くなりすぎるのではなく、まわりの環境に溶け込む工夫や、20代ばかりでなく50代の方にコンシェルジュとして働いてもらうなどの配慮もした」と言います。

「変えることへの周囲の抵抗、まわりのコンセンサスを得る難しさや、気をつけたことはありますか?」石黒さんの問いには、“オフレコ話”が次々に飛び出し、会場にどっと笑いが湧き起こる場面も……。

平出さんは、日本航空の客室乗務員だった当時、アメリカのワインのカンファレンスに参加し、日本人は3人だけ。存在も職業も評価されず、悔しい思いをしたこと。何とかして日本のオリジナルである日本酒を認めさせたいと思ったことなど、現在に至るまでの悔しい思いと、それでもひたすら日本酒を世界に認めさせたい一心で突き進んで来たエピソードを独特の穏やかな口調で語ります。

石黒さんのキレのある、ユーモアあふれるファシリテートで話が運ばれていくうち、後半の質疑応答タイムへ。「自分の感性を磨くためにどんな事をしているか」、「外からの反対があった場合どうすればいいか」、「自分の中で一番大きな挑戦は?」など、次々に出される問いに、スピーカーそれぞれの体験が語られたり、意外に楽観的なことが判明したりと、ここでしか聞けない言葉がたくさん語られました。

終始、明るい笑いに包まれ、ありのままの本音トークが繰り広げられたセッションでした。

線

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イー・ウーマンピアからのレポート

イー・ウーマンピアとは?

Hazel Nuts さん

3人のパネリストは、誰もが羨むような活躍をされながらも、実際には活路を絶たれそうになりながら、必死に前進してきたということでした。「目指すところがはっきりしていれば大丈夫。それが自分を支えてくれる」、「新しいことを始めるのに必要なのは素直になること」、「周りの人たちの言うことを素直に聞いて、自分の思うことも正直に言うこと。自分が楽しむと周りも楽しむ」というメッセージに胸打たれました。新しいことをするのに必要なのは特別な能力ではなく、素直で、ひたむきで、真摯な働き方なのだと教えられました。

ヒロコ さん

今回このテーマを私が選んだのは、新しい事を始める発想はどういった事から生まれるかを知りたいと思ったからでした。設計、日本酒、食品といった分野の方で、自分の仕事も全く違う為ワクワクしながら会場に入りました。当たり前なのですが、皆さん最初から何事もなく成功したわけでなく、今に至るまでいろいろ社内外の反対や失敗を経ていました。
平出さんが、JALを辞めて会社を作ったのは、ちょうど今の私くらいの年齢でした。<理由をつけようと思えば、辞めない理由はできたが、持ち家を売ってその理由をなくした>とおっしゃったのはとても印象に残りました。自分が日常、理由をつけて動いていないなと改めて振り返りました。池貝さんからは、反対されるのは共有不足という話がありました。<ゴールが共有できていれば反対されない。ディスカッションの時間が大切>との事でした。向井さんは、女性だけ会議に呼ばれないという経験をしていました。このような事は私も経験しています。<組織はすぐには変わらない。少しずつ変わる。><見ている人が背中を押してくれる>という言葉が印象的でした。
身近に思えるエピソードがどんどん出て来ました。明日からちょっとづつでも変わって頑張ろうと思えた円卓会議でした。

重松 敏子 さん

私がこの円卓会議を選択した理由は、まず、私自身が市場に溢れる「茶」について新商品や新たな魅力を発信するヒントを探していたこと。次に、直前のトークショーでの平出氏の言葉でした。世界における日本酒の潜在的な価値を、日本女性に例えられた事が腑に落ち、もっと平出氏の話を伺いたいと思いました。
この円卓会議で特に印象に残ったのは、平出氏やファシリテータの石黒氏から出た「時間がない」という言葉です。自分が働ける時間があとどれだけかを考えたら、自分のやりたい事は今すぐ始めなければ間に合わない。やりたい事をする為に捨てるものが安定した職場であったり、財産であったりと大きな決断を迫られるものだとしても、それでもやるという覚悟があった人だからこそ新たな市場、ブランドを作るパワーを持っているのだと感じました。ただ、そのパワーもただ突き進むのではなく、爪は隠し、小さな事は譲り、大きな事だけは譲らない知恵を持ち、素直である事。女性らしいという言葉は良くないかもしれませんが、私はこのヒントを日本女性のようだと感じ、勇気をいただきました。
この円卓会議に参加して、自分のやりたい事をより明確にして、それだけは譲らず、でも、素直に人の言葉に耳を傾けながらチャレンジして行きたいと改めて思いました。

内田 容子 さん

どんな仕事でも、他の意見とぶつかったり、誰かとの摩擦があったり、反対されたりすることは多々あるものです。講師たちが仕事をする上で同様のことがあった時の心の持ち方について伺うことが出来、とても参考になりました。以下、会話からの抜粋です。
・代官山のT-SITEでクリエイティブディレクターとして活躍された池貝さん「より良くなる道をつくるように、とことん考える」
・日本酒の可能性を世界に広めている平出さん「日本のステータスを上げたいという悔しい気持ち」
・味の素の向井育子さん「自分が変わらないとイノベーションに繋がらない」。
・ネットイヤーグループを率いる石黒さん「日本や社会に貢献するために、自分に何ができるか?と考える」
また、やりたいことを実現していくテクニックとして、「大きな事だけに拘って意見を通す」、「言いたことは相手に理解されるように伝えること」、「不満があっても批判することなく、バランスを取りながら解決していく」などというコメントもありました。彼女たちが現在に至るまでの体験や、壁を乗り越えた時のエッセンスだけを聞くことが出来、とても有意義な時間となりました。

ayako7777 さん

それぞれの分野でゲームチェンジ=イノベーションを行った3名を迎えての円卓会議は、具体的なエピソードが満載で、とても興味深いものでした。ネットイヤーグループの石黒さんのファシリテーションも巧みで、様々な角度の質問から上手に本音を引き出していました。結果的にはイノベーションであっても、きっかけや過程は実に地道であったこと、大切なことは熱意やコミュニケーションであるということが印象に残りました。酒サムライコーディネーターの平出さんは、CA時代に希望していたパリ路線から外れ、ニュージーランド担当になったことが、現地のワインの一人者と懇意になるきっかけとなり、結果として今のキャリアの直接的につながるインターナショナルワインチャレンジへの参加につながったとのこと、「目指すところがはっきりしていれば大丈夫」、という言葉に多くのことを乗り越えた自信を感じました。T-SITEの池貝さんは、日常的に反対されることが多い中で、迎合しないこと、根気よく伝え続けることの大切さを強調。女性が会議に呼ばれないこともある環境の中で、クリエイティブからマーケターへの転身をはかった向井さんからは、自分の熱意と感覚を大切にし続けることを学びました。

さらら さん

市場を創る!というタイトルからはエネルギッシュで豪腕な方々をイメージしたが、分科会に登壇された方々は皆柔らかく、ゆったりとした雰囲気だった。お話をうかがっていて「信じる力」「惚れ込むこと」がキーワードのように感じた。日本酒は絶対世界酒になる!とほれ込み、信じる力。代官山の雰囲気に惚れ、この街にこんなお店があったら絶対にいい!と信じる力。そして、手を変え品を変え、周りに伝えていく力。会場から「外から反対された時はどうしましたか?」という質問に対しては「ゴールを共有できていないからでは?本当にどういうことをしたいのか、が伝われば、反対されない」という力強い言葉。反対する人もいるけど、「すごくいい!」と言ってくれる人もきっといる。その人の存在をずっと心にとめていくこと。素直に、正直に。周りの意見を聞くということ。しなやかに形を変えながら、心の中に描いた信念は譲らない、登壇者の方々からそんな強さを感じた。午前中のトークショーの中では「日本酒と女性は似ている」という言葉があった。もともとそこにあるのに、活用できていない・・・。女性が活躍する市場は、自分たちで作っていかなければ。そう感じた。

入口 和朗 さん

「イノベーション」=「技術革新」と訳すことが当然で、理工系限定のイメージが強かったが、石黒さんの提言での「イノベーションを技術革新と訳すべきか?」との考えは、新鮮でした。新しい動き・変革が全て「イノベーション」だという考え方はすっと頭に入り、同調できた。向井さん・池貝さん・平出さんともに、元あった考えを違う視点で捉えて、新しい動きを起こし、ともに成功を果たしていることに凄さを感じた。またイノベーションを起こす時に大切なこともお伺いできた。目的をはっきりさせること、素直になること、正直にいること。イノベーションを起こすという大きなことだけではなく、通常の社会生活でも大切なことだと思う。小さな案件でもルーティンワークでも基本的なことだが、その基本が実は非常に大事だと感じた。今回の「Game Changer」のテーマに正にふさわしい4名によるセッションでしたが、実は、基本が大切であることを認識した円卓会議でした。

hiroko810 さん

新ブランド、新商品の仕掛人と言う題名から、既存にない価値観の創造をして来た方のお話を聞けると言う期待感で参加しました。3名の方それぞれが苦労と言うより、ワクワクした感じで挑戦して来た事を語っていたのが印象的でした。酒サムライコーディネーターの平出さんの話の中で、売る環境を作る事、売る価値があるのだと言うブランディングと言うお話は、日本人にとって身近な日本酒に世界的に価値があるのだと言う、グローバルな視点を持つ大切さを感じました。向井さんの、企業の中での新商品開発の苦労話も、やはり諦めない、組織の中であっても理解してくれる人はいる、背中を押して貰えるチャンスを待つと言う話は、企業の中でどうして行ったら良いのかの指針になったと思います。池貝さんの、新しい事をする時に周りのコンセンサスを得ること、反対があるのは情報の共有が出来ていない為の誤解があるので、ディスカッションを重ねると言う事も新しい事をして行くポイントなのだと思います。誰もやっていない事を失敗しながらも諦めずにやると言う姿勢が大切で、その為には目指すことをはっきりさせる事、その時その時を後悔しないように行動をする事が大切なのだと実感する事ができました。

Y.N. さん

ファシリテーターの石黒社長を中心に、まず、登壇者の自己紹介と仕事での役割のお話がそれぞれあり、その後、セッション参加者からの質問に答えていく形式で進行。仕事上のイノベーションのきっかけについての話が中心となった。ある仕事内容に関して、自分がいいと思うことは、その仕事に関わる周囲の人たちも同様にいいと認めて動いてくれる、という共通の経験を登壇者はもっているということ。池貝さんは代官山のヒルサイドテラスに蔦屋を作ったことで、代官山に新しい価値を生み出した方、そして結果として、代官山に訪れる人が10%もアップする、と功績を生み出した。インテリアや空間設計のみならず、蔦屋で働く人も20代から30代中心から、50代の能力も経験、知識も高い人に働いてもらうことで、蔦屋に新しい価値や、更に顧客増加の要因を生み出すことに成功。仕事上でクライアントに反対される事があっても、それは彼らと考えを共有できていないからだと思い、打ち合わせに時間をかけて信頼関係を築いてきた。平出さんは、ワインを学び、ワインを売ること(好きな事をやることが大切)で、海外で日本産のワインも紹介、どうやったら、そのよさを伝えられるか、を大切にしてきた。販売する際に、相手がダメだと言わないような仕掛け作りをしてきた。日本酒を売る場合には、日本酒の価値を、直接顧客に販売する人が伝えることをしてきた。向井さんは、女性に対して閉鎖的な職場で、いつかいい時がくるかも知れないと楽観し、仕事で反対されてもあの手、この手でがんばり、周囲もだんだん変わってきて、彼らが背中をおしてくれる瞬間を待った。石黒社長は、誰もやっていない事をやっていく、失敗しながらもめげないでやっていく。仕事をしていく上で登壇者が必要だと思っていることは、平出さんは、目指す所があれば困難を乗り越えられる、ということ、池貝さんは、仕事において素直になること、解らないことを聞いたり、映画などをみて違う文化を学ぶこと。向井さんも周囲に素直に、自分にも素直に正直でいること、そして、仕事自体を楽しむこと。このセッションに参加して、何かを生み出したり、仕事で何かを成し遂げてきた方々は、自分のいいと思うものを仕事で周囲と共有し、成功に導く力をもっている、困難があっても、素直に正直に周囲と関わり、それを乗り越えていく力がある、つまり仕事を通して、確実に成功に導く能力と周囲との信頼を築ける能力を身に着けることが大切であることを学びました。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

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