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ウーマノミクスが動かす日本

キャシー 松井

キャシー 松井さん

ゴールドマン・サックス証券株式会社 マネージング・ディレクター、チーフ日本株ストラテジスト、Asia ECS (Economics, Commodities and Strategy) 共同ヘッド

今年のオープニングスピーチは、ゴールドマン・サックス証券でアナリストとして活躍し、女性と経済の関係を「ウーマノミクス」というインパクトあふれる言葉を用いてリポートしているキャシー 松井さんです。期待にあふれたみなさんのまなざしに応えるように、キャシーさんの張りのある声が会場に響き渡り、スピーチがスタートしました。

キャシー 松井さん キャシー 松井さん

国内・海外の機関投資家向けに年間数百回にも及ぶ説明会を行っているというキャシーさん。投資家たちの間で問題とされる日本の構造問題、特に少子化問題は非常に深刻な状況にあると語ります。
人材が減っていけば、生産性の革命的な変化が起きない限り、その国の経済性が弱くなっていくおそれがあるからです。

キャシーさんはその現実的な解決策として、「女性の労働参加率の引き上げ」を提言していますが、投資家などにその話をすると、必ずいくつかの「通説」に直面するそうです。それは、「女性の仕事をやめる理由はpull(引っ張られる)のみ」「日本人女性は出産後、復職したくはない」「ダイバーシティは企業の収益と関係がない」「女性の就業率を上げることが、出生率をさらに低下させる要因になる」というもの。

キャシー 松井さん

ここから、会場のスクリーンに次々とデータが映し出されていき、キャシーさんが通説を覆していきます。女性の仕事をやめる理由はpull(育児介護など)が一番大きい要因と言われていますが、実は行き詰まり感などのpush(仕事場から押される)のほうが多いこと。出産後の復職を望む女性は欧米と比較してほぼ同じ割合でありながら、機会は非常に少ないことなど……。その反論は痛快でもあり、時おり会場から笑い声が起こります。

「われわれの計算では、日本の男女の雇用のギャップが縮まった場合、GDPが15%も押し上げられるという結果が出ています。これは非常に大きいと思いませんか?この計算は、魔法を使っているわけではないのです。何が事実かということを、みなさんの力できちんとわかるように伝えてほしい。ぜひ“神話”に反論してください」

強く訴えるキャシーさんの言葉に、みなさんが深くうなずきます。説得力に満ちあふれたスピーチが終わると、会場には拍手とともに熱い一体感が生まれました。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

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