リポート

円卓会議リポート

円卓会議 201

Negotiation Skills

ダーシー・アンダーソン

ダーシー・アンダーソンさん

株式会社ユニカルインターナショナル バイスプレジデント

午後の円卓会議では、第1部から第3部まで、それぞれ1コマ、合計3コマの英語・通訳なしのセッションが設けられました。その一つであるこの会議は、今回で16回目の国際女性ビジネス会議登壇となるダーシー・アンダーソンを講師に、ビジネスに役立つ交渉力を学びます。

モニカ・カイザーさん ダーシー・アンダーソンさん

「午前中のスピーチでモニカさんがアドバイスしたように、私たち女性が男性にメンターを求めること、そして、彼らに交渉術を学ぶことも有意義。なぜなら彼らは長い間男性同士でネゴシエーションを実践して来たのだから」と最初に述べ、さっそく交渉力を高める実践的なTIPSへと話を進めます。

まず一つ目は、「Do your homework」。給料アップでも休暇のことでも、交渉をする時はいつも事前に下準備をして、時間や労力などの必要な「コスト」を明確に相手に示すことが有効。また、とりわけ組織内での交渉には「win-win」が重要あると語ります。そしてダーシーが、「二つ目は、Shut up and listen!」と笑いをまじえて口に出すと、会場中にドッと笑いが。みなさん思い当たるふしがあるようです。

続いて、交渉に有効なアサーティブな姿勢について話が展開。「アサーティブとアグレッシブの違いは?」と会場に問い掛けると、矢継ぎ早に意見が述べられ、会議はどんどんインタラクティブに。
5つの「A」、apathetic、amiable、assertive、aggressive、abrasiveについて、ホワイトボードに書きながら、たとえば「どこにランチに行こうか?」というテーマなら、それぞれの人がどう答えるかと、わかりやすい実例をあげての説明には多くの人が頷き、メモをとる姿が見られます。

アルトマン京子さん

アサーティブに交渉を進める方法、アグレッシブな人と交渉するときの姿勢や注意、女性のアドバンテージを使うことなど、即実戦に役立つTIPSの数々。そして、ダーシー自身が26才で企業の役員に昇進した時や20年以上前に日本の企業で体験したエピソードからも、多くの示唆を与えてくれました。

会場からは女性も男性も多くの手が挙がり、「交渉で感情をコントロールするには?」「交渉や会議でアグレッシブに話し続ける人に対しては?」など、日頃ビジネスで抱えている疑問が次々と。その一つ一つに、ダーシーが豊かな経験と温かい励ましの想いを込めて答えるうち、早くも終了時間に……。

熱心に聴き入る参加者のそれぞれが、明日からの交渉場面で「これは使える!」という心得や秘訣をつかんだことは、終了後のみなさんの満足げな表情が語っていました。

会場PHOTO

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イー・ウーマンピアからのリポート

ねこの散歩 さん

会議のテーマから、様々なビジネスシーンでの「交渉」術、についてお話を期待していましたが、どちらかというと、外資系企業に入社しようと試みる人たちへの面談術について、という方向性だった感が高かったです。とはいえ、採用面談も、自分を売るための交渉なので、基本となる考え方は、どの場面でも応用がきくものですよね。
交渉にあたって、まず準備。各種プレゼンを行う時は、誰しも練習をしますが、交渉の前も同様。相手は何を望んでいるのか、自分はどのようなベネフィットを出すことができるのか、どこまでが相手の許容範囲なのか、相手からの様々な出方を想定して、それに対してどう意見をのべるか、練習することが大切です。
そして、実際の交渉にあたっては、決して急がないこと。またオファーに対して、自分が能力不足であると感じるのであれば、まず自分のできることをのべ、そしてできないことに対しては、それについての教育を受けさせていただけるのであれば、可能である旨を伝えることが重要で、決して、私にはできませんが、一生懸命がんばります、のような話の仕方では、確実にアウトであること。
最後にダーシーさんがおっしゃっていた、「今、日本は、女性を必要としています」という一言が、胸に大きく響きました。

カイト チカ さん

本セッションはダーシー・アンダーソンさんがファシリテーターで英語で行われました。
「交渉力」と聞いた時、参加する前は「パワー(威圧感)や論理で相手を押し切る」という、どちらかというとディベートに近いイメージを持っていました。特に英語で行われるということで、日本人同士の交渉術とはまた違うのかなと思い、その違いを学ぼうと思って参加してみました。
まずは、ある主題について、どういうレベル感で関わるべきか?を知るということからのスタートでした。「無関心」から「命令」までの6段階ついて、図で示しながら、わかり易い英語の説明がありました。特に日本語では、関わり方のレベルを客観的に考えるということがほとんどなく、そのこと自体がとても新鮮でした。
これからの時代はダイバーシティ(多様性)が、意思決定の場面で必要だと言われています。多様な背景や考えを持つ人たちが、ひとつの主題について様々な角度で話を拡散させることはとても重要なことです。一方で、何らかの共通軸も同時に持っていないとプラスの方向の一致点は見つけ難い。「交渉力」というのは、ゴールの方向性を見える化し、意識するコミュニケーションなのだと発見したセッションでした。

ゆり さん

交渉で大切なのはWin-Winの関係を築くこと、相手の話を聞くこと、交渉の決着を急がないこと、感情をどう使うか、といった内容だったと思います。全ての話はビジネス上でのことに限定されていました。apathetic⇒amiable⇒assertive⇒aggressive⇒abrasive、このような段階で、交渉をする側の発話の仕方が区別されている。そして、その段階は、性別や職業、国籍など、文化的背景により異なる。私自身は、この交渉術が、どのような場面で、どのような方法で成功したのか、または成功しなかったのか、成功するには、どのような術を用いて行ったのか、など、もっと具体的に、掘り下げて事例を細かく見てほしかったです。そして、相手の話を聞いて、Win-Winの関係を築くには、相手の立場を考え、そして、その相手の立場を正しく理解するには、教養、知識、経験などもすごく大切な要素だと思います。それら、目標を達成するために、大切なファクターに関する言及がなかったことが残念に思いました。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

過去の国際女性ビジネス会議

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