講演
マダム、これが俺たちのメトロだ!

「マダム、これが俺たちの新幹線だ」という言葉をいつか聞きたい

3年前、第23回国際女性ビジネス会議にもご登壇いただいた、株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバルのインド現地法人Oriental Consultants India代表取締役会長の阿部玲子さん。今日はちょうど東京滞在中ということで、メインステージにご登壇いただくことができました。独特のユーモアあふれる軽妙な「阿部節」は、今回も全開です。

阿部玲子氏Reiko Abe

㈱オリエンタルコンサルタンツグローバル
インド現地法人
取締役会長

「日本の女性土木エンジニアのパイオニア」を自負する阿部さんは、大学卒業後、ジェンダー平等でない日本の建設事業を抜け出して、ノルウェーに留学。以後、様々な海外現場で仕事をし、2007年からインドの地下鉄プロジェクトに従事。そして、2015年、インドのアーメダバードメトロプロジェクトのトップとしてインド初の女性プロジェクトマネージャーに就任し、プロジェクトを運営しました。その活躍ぶりは、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』や外務省のドキュメンタリー動画『ODAの挑戦者たち~インドの鉄道編~』にも取り上げられています。当時、彼女が携わっているメトロ工事現場を指さして、インドのタクシー運転手が自慢げに「マダム、これが俺たちのメトロだ」と言ったというエピソードを話してくれたことを思い出します。さらに今後はインド新幹線のプロジェクトに参画する予定だと言います。

マネージャー就任の際は、最初は女性ということで反対にあったが、それまで一緒に仕事をしたインド人男性が「彼女ならできる」と断言。加えて「援護射撃のつもりだったのか、She looks like a woman.と言ってくれたんです。でも、いやいや、私はリアルにウーマンですって(笑)」と、女性だからこその困難も持ち前のユーモアで笑い飛ばす阿部さん。
インドでの地下鉄工事の実態を示すいくつかの刺激的なエピソードもジョークを交えて披露。その語り口はパワフルかつ軽妙で、終始、聞く人を惹きつけて離しません。

さらに、工事において、インドで初めて、4万人の労働者すべてにヘルメット着用を義務付け、その後の建設工事のモデルになったこと。安全性と効率性の意識をインドの工事現場に浸透させたことなどにも触れ、インドへの貢献を伝えます。
もう一つ、デリーメトロプロジェクトが大きく貢献したのは、インド国内の女性の社会進出。安心して移動できることで女性の就業率は上がるのです。女性専用車両をインドで初めて取り入れるなど女性が安心して乗れる環境をつくるとともに、率先して車掌などに女性の職員を採用する姿勢を示すことで、「女性の社会進出を後押しすることができました」

最後に、デリーメトロは安全・快適・便利と認識され、それらが日本の技術でサポートできたことを誇りに思っていると、阿部さんは胸を張ります。そして、今、新幹線建設に携わる彼女は、スピーチをこんな言葉で結びました。
「いつか、マダム、これが俺たちの新幹線だという言葉を聞きたい」

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