講演
脳科学から見て、女性の無限の可能性のnext chaptersはどこにあるのか

女性の可能性を解放することで、人類全体の創造性が前進する

「脳科学」という切り口で女性たちのnext chaptersを語るのは、国際女性ビジネス会議ですっかりおなじみの茂木健一郎さんです。旅先のホテルから、リラックスした様子で登場してくださいました。

茂木健一郎氏Ken Mogi

脳科学者、作家、ブロードキャスター
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー
東京大学非常勤講師

「実は脳科学において、女性の可能性は本当にすばらしいということがわかってきています。ガラスの天井で損をするのは女性たちというパーセプションがあったと思うんですが、実は人類全体が損をしているということが明らかになってきたんです」

そして、歴史上の事例を紹介していきます。最初に語られたのは、エイダ・ラブレスという女性。19世紀のイギリスで機械式コンピュータをつくり、人類初のプログラマーと評価されています。当時の男性たちはコンピュータ技術を戦争の道具として使う中で、彼女は音楽や絵画などのアートに応用する活動を行っていました。
「コンピュータサイエンスなどの分野に、女性はそれほど多く進出されていない。これはもともとの能力の差というより、社会のパーセプションの問題。エイダ・ラブレスさんはすばらしいパイオニアだったし、高く評価される議論が盛り上がってきているんですね」

さらに、アマデウス・モーツァルトの姉であるナンネル・モーツァルト、アインシュタインの相対性理論の構想に寄与したと思われる最初の妻、男性名のペンネームで小説を発表せざるを得なかった女性作家など、その実力に日の当たることがなかったさまざまな分野の女性たちが挙げられていきます。
「洋の東西を問わず、女性はクリエイティブなことをしないという認識が、厚いガラスの天井になってきたのではないか。それが、脳科学者として非常に関心があるところです」

日本文学においても、「女性たちがほとんどのクリエイティブの仕事をしてきたと評価している」と茂木さんは言います。男性が漢文で形式ばった文章ばかりを書いていた時代に、紫式部がかなで書き上げた『源氏物語』。近代文学では、柔らかい日常のことばで文学の火をつないだ樋口一葉……。「男性は常にそのときのイデオロギー、社会的な風潮の中で地位を争うことをする。女性は人間そのものを見る、本質を見る能力があると評価する人が徐々に増えてきています」と、社会の視点が変化してきていることを告げます。

「女性の可能性を解放するということは、ジェンダーの平等以上に、人類全体のクリエイティブを前に進めるために必要であるということを、ぜひ理解していただけたら嬉しく思います。脳科学者としても、女性の創造性、女性の才能をどう解放していくかということについて、重大な関心を持ってこれからも研究し、活動を続けていきたいと思います」

茂木さんのメッセージから、社会の認識を超え、女性たちのしなやかな力が発揮される明日へ向けて、確かな一歩を踏み出したひとときとなりました。

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