円卓会議203女性ジャーナリストがメディアを変える

  • 大門 小百合
    大門 小百合

    ジャパンタイムズ 執行役員 編集・デジタル事業担当(編集・デジタル部門最高責任者)

  • 浜田 敬子
    浜田 敬子

    BUSINESS INSIDER JAPAN 統括編集長
    AERA前編集長


誰がどの目線で取材して書くのか、個人の力が問わる時代

メディアが「忖度」する風潮が広がり、読者・視聴者からの不審が高まる傾向にある今。女性記者が増えること、編集決定権を持つトップに女性が立つことで、日本のメディアをどう変えて行かれるのか。これまで実際に多くの変革を成し遂げて来た女性トップ、そして今まさに風穴を開けている女性記者を迎え、新しい報道の在り方を探るディスカッションが始まりました。

女性ジャーナリストがメディアを変える photo

『ジャパンタイムズ』で女性初の編集部門トップとなり、現在は同社の執行役員/編集・デジタル事業担当をつとめる大門小百合さんは、トップになってから「変わった」点を2つ挙げます。1つは、女性が子育てしながら働けるように「パートタイム」のデスクや記者を増やしたこと。
2つ目は、紙面が変わって来たこと。何をニュースとして掲載するかを決める編集会議に、「女性のデスクと空気を読まない外国人が入って来たことによって色々なディスカッションが生まれ、生活に密着した話題を取り上げるなど、面白い紙面になったと思う」。

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「昨日の紙面、大門さんがつくったでしょ」と指摘したこともあるという、NHK国際放送局 World News部記者の山本恵子さん(ファシリテーター)は、大門さんがトップになったことで「紙面にダイバーシティが表現されている」といい、「誰が選択するか、誰が決断するかで紙面も番組も大きく変わる」、「決定権のあるポジションに女性が居ることは大切」と強調。

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『AERA』編集長を経て、この春『BUSINESS INSIDER JAPAN』統括編集長に就任した浜田敬子さんは、『AERA』時代に「女性や子どもの問題は社会全体の問題であることを、ものすごく意識して言って来た」といいます。また、報道の中味を変えると同時に働き方も変え、ワーキングマザーのほとんどが9時から6時過ぎまで仕事をする「夜型の職場がほとんどの週刊誌編集部では、おそらく日本一帰りが早い編集部だったと思います」。
さらに、「結果を出せば働いている時間は関係ない。成果をきちんと評価したことでワーキングマザーが定着していったのだと思う」と振り返り、朝日新聞時代のエピソードなども交えながら、女性が決定権を持つこと、意思決定の場に女性が居ることの重要性に言及。

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そして次はまさに今、時の人。菅義偉官房長官の会見で、一人で切り込み、何度も質問を突きつける姿が広く話題となっている、東京新聞社会部記者の望月衣塑子さんです。2人のお子さんを産んでからは時間の制約があるため「朝駆け、夜回り」という事件記者の基本とされる取材ができなくなり、自分でテーマを選んで「武器輸出」を取材する中、「オープンな場でどんどん聞くやり方も有りだとわかった」。さらに、「一政権が決める政策が、私たちの生活を、また、日本の在り方を大きく変えていくとの危機感が生まれた」。
そんな中で、森友学園問題、加計学園問題にも関わり官房長官会見に出るようになった。フリージャーナリスト山口敬之氏から性的被害を受けたと訴えている詩織さんや前文科省事務次官の前川喜平などに話を聞き、「武器輸出をテーマにしてきた自分の持つ危機感、前川さんから聞いた思い、詩織さんの思い、それらを結集してのぞんだ」と、菅義偉官房長官会見での切り込みに至った覚悟を熱く語ります。

後半の参加型ディスカッションでは、先ほどトークショーで登壇されたマラソンメダリストの有森裕子さんからも質問が飛び出し、最後はファシリテーターの山本さんがこう締めくくりました。「誰がどの目線で取材して書くのか、個人の力が問わる時代。あえて空気を読まず、ぶち破って行かないとメディア不審も解決できない。みなさん、良い発信をしている人たちをぜひACT POSITIVEに応援してください!」

登壇者がそれぞれに道を切り拓いて来た実体験、そこから生まれた鋭い洞察、深い知見、温かく時に厳しいまなざし……。彼女たちのような女性と、それを応援する読者・視聴者が、日本の報道を変えて行くに違いないと強く感じさせるセッションでした。

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