円卓会議105女性取締役から見る今の企業経営

  • 丹下 一
    川本 裕子

    早稲田大学ビジネススクール教授
    株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ取締役
    THOMSON REUTERS Trustee Director
    国家公安委員会委員

  • 野原 佐和子
    野原 佐和子

    株式会社イプシ・マーケティング研究所 代表取締役社長
    SOMPOホールディングス株式会社 取締役
    株式会社ゆうちょ銀行 取締役
    東京ガス株式会社 監査役
    NISSHA株式会社 取締役

  • 佐々木 かをり(F)
    佐々木 かをり(F)

    株式会社イー・ウーマン代表取締役社長
    株式会社ユニカルインターナショナル代表取締役社長
    小林製薬株式会社 取締役
    日本郵便株式会社 取締役
    株式会社エージーピー 取締役


社外取締役になるには、問題解決能力と専門性が必要。
そして考えを建設的に発言できる力も

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「上場企業の取締役に一人以上は女性を」、という動きが進む今。取締役会に女性が入るとどのように企業価値を高めるのか、また、社外役員は企業経営のあり方をどう考えているのか。多くの企業の役員を務めてきたスピーカーの貴重な経験や、取締役会から見える経営について議論します。

現在4社の社外役員をつとめる野原佐和子さんは、「複数社の社外役員を引き受けることは、それぞれの会社を相対的に見ることに役立っている」と言い、社外役員として「自分の立ち位置で客観的に考え、論理的にコメントすることが重要」と続けます。

これまでに多数の企業の社外取締役を歴任し、現在は三菱UFJフィナンシャル・グループの社外取締役、トムソンロイターのトラスティディレクター、国家公安委員などを務める川本裕子さんは、「まず取締役になるためには自分の専門が無ければいけない。自分の専門性をもってして、どれだけ客観的、専門的な意見を述べられるかが社外取締役の条件」と強調。さらに、「日本は同質性が国民的な問題。同質性は、コミュニケーションコストがかからないという利点もあるが、リスクの見方なども同じようになるので、リスクに気づきにくい。それを埋めていくのが社外役員」。

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川本さんの発言を受けて、現在3社の社外取締役を務めるファシリテーターの佐々木かをりは、「まさにそれがダイバーシティ。一つの文化で育ち歴史を歩んできた社内の人々が見落としがちなところを、質問したり、指摘したり、新たな見方を提案するのが社外役員」と言い、「そもそもどんな点が評価されて社外取締役に任命されたと思うか」と問いかけます。

これに対し、「問題解決能力と、金融やガバナンスが専門なのでその専門性で選んでもらっていると思う。いずれにしてもその企業にとって正しいことが建設的に言えるかどうかが一番重要」と川本さん。

また、野原さんも、取締役会での発言ルールについて、「論理的に俯瞰的に発言する、相手の価値観に迎合せずに正論を言う、建設的に発言すること」と、「建設的」を強調。
そして、「落ち着いてゆっくり、低い声でしゃべることも重要」と言う川本さんに、佐々木が話し方や声についてキャスターのエピソードを話すなど、あふれるように話題が次々と展開し、あっという間に時が経過しました。

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会議の後半は、インタラクティブなディスカッション。待ってました!とばかりにフロアからは多数の手が挙がります。
ベンチャー企業の社外監査役を務める公認会計士の女性からは、「自分が引き受けられない時にはどういう方を紹介するか」と切実な質問。退職後に社外役員にチャレンジしたいという女性は、「選ばれるために準備しておくことは?」。社外役員のオファーを受けたが「発言しなくていい」と言われた女性や、国連で働く女性、社員の立場で女性役員を増やすにはなど、10人の方から矢継ぎ早に質問が投げかけられ、それぞれ3人のスピーカーから示唆に富んだ答えが次々と。

企業からの問い合わせで多くの女性役員を紹介していることや女性役員のクラブTHE BOARDをスタートすることの紹介とともに、「専門性を高めることと、声を下げることが必要です。1オクターブ下げる訓練をして、自分を高めて貢献するようにしていきましょう!」佐々木かをりの一言で、濃密なディスカッションが終了となりました。